犬はホルモンを食べても大丈夫?

首を傾げながら正面を見つめる犬のアップ

犬にとって、ホルモン(内臓肉)は決して「毒」ではありません。しかし、結論から申し上げますと、愛犬にホルモンを積極的に与えることはおすすめしません

ホルモンは部位によって脂質が非常に多く、消化に負担がかかりやすい食材だからです。

また、大前提として人間用の「焼肉のホルモン焼き」などを取り分けて与えるのは絶対にNGです。人間用の味付けは犬の健康を著しく損なう恐れがあります。

詳しい理由や、犬に与えても良い部位の線引きについては、後ほど詳しく解説していきます。

ホルモンはどんな食べ物?

さまざまな部位のホルモンの盛り合わせ

ホルモンとは、一般的に牛や豚の「内臓肉」の総称を指します。一口にホルモンと言っても、部位によって脂の量や硬さ、消化のしやすさが大きく異なります。

焼肉店で見かけるホルモンは、独特の食感や脂の旨味を楽しむために提供されています。そのため、脂がたっぷりと付着した部位や、濃いタレで味付けされた状態で提供されるのが一般的です。

また、牛のホルモンと豚のホルモンでは、寄生虫のリスクや脂肪分の質に違いがあります。こうした特徴を理解せずに与えると、犬の胃腸に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。

ホルモンに含まれる栄養素と犬への影響

食器からフードを食べている犬

内臓肉には、筋肉部位である赤身肉とは異なる栄養素が豊富に含まれています。しかし、「栄養がある」ことが、必ずしも「犬に積極的に与えるべき」理由にはなりません。

たんぱく質

ホルモンは、犬の体を作るために欠かせない良質なたんぱく質を含んでいます。

しかし、部位によってはコラーゲンなどの結合組織が多く、消化吸収の効率は赤身肉に劣る場合があります。

脂質

エネルギー源となる脂質ですが、ホルモンには非常に多くの脂肪分が含まれる部位が存在します。

過剰な脂質は肥満だけでなく、犬にとって命に関わる「膵炎(すいえん)」のリスクを高めるため注意が必要です。

ビタミンB群

代謝を助けるビタミンB12や葉酸などが含まれており、皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。

これらは水溶性ビタミンのため、過剰に摂取しても排出されやすいですが、バランスが重要です。

鉄・亜鉛などのミネラル

血液の健康を保つ鉄分や、免疫力をサポートする亜鉛が豊富に含まれています。

どんな犬種にとっても大切な栄養ですが、摂りすぎは内臓への負担となります。

プリン体・コレステロール

ホルモンはプリン体やコレステロールが高い傾向にあります。

これらは過剰摂取により、ダルメシアンに多い尿酸塩結石や、脂質異常症を引き起こす可能性があるため、摂取量には慎重になるべきです。

ホルモンの部位別にみる犬への影響

異なる部位のホルモンが少量ずつお皿に並ぶ様子

ここでは、犬に与えることを検討できる部位と、避けるべき部位を整理します。各部位の具体的な注意点については、次の章で詳しくお伝えします。

条件がそろえば検討できる部位

ハツ

心臓の部分で、赤身肉に近く脂肪が少なめです。ビタミンや鉄分が豊富で、内臓肉の中では比較的犬に与えやすい部位と言えます。

砂肝

鳥の器官ですが、ホルモンとして扱われることも多い部位です。低脂肪で高たんぱくですが、非常に硬いため、与え方には工夫が必要です。

ハラミ

横隔膜の筋肉です。分類上はホルモンですが、肉質は赤身に近く、適量であれば摂取可能です。ただし、市販品は味付けされていることが多いので注意してください。

扱いに注意が必要な部位

シマチョウ・マルチョウ

牛の小腸や大腸です。非常に多くの脂肪分が付着しており、犬には脂が強すぎます。下痢や膵炎のリスクが高いため、基本的には避けるべき部位です。

ミノ

牛の第一胃です。非常に弾力があり、犬が噛み切るのは困難です。大きなまま飲み込むと喉を詰まらせたり、消化不良を起こしたりする危険があります。

センマイ

牛の第三胃です。脂肪は少なめですが、独特の形状をしており汚れが残りやすい部位です。下処理が不十分な場合、細菌感染のリスクも否定できません。

ギアラ

牛の第四胃です。ミノなどと同様に非常に硬く、脂肪分も多めです。家庭での調理や消化の面から見ても、犬向きの食材とは言えません。

レバー

肝臓です。栄養価が極めて高い一方で、ビタミンAの過剰摂取(ビタミンA中毒)を招きやすい部位です。与える場合は、ごく少量をたまに与える程度に留める必要があります。

犬にホルモンを与える際の注意点

食器のそばで伏せる悲しげな表情の犬

もし愛犬にホルモンを与える場合は、以下の注意点を必ず守ってください。これらを怠ると、深刻な健康被害を招く恐れがあります。

生や加熱不足を避ける

生のホルモンには、カンピロバクターやサルモネラ菌などの細菌、寄生虫のリスクがあります。

特に豚ホルモンは生食による感染症が非常に危険なため、中心部まで完全に加熱してください。

味付きや加工品は与えない

焼肉屋さんのタレや塩だれには、犬に禁忌の玉ねぎやニンニク、過剰な塩分が含まれています。

焼肉の取り分けは絶対にせず、必ず味付け前の新鮮な肉を別途用意してください。

脂が多い部位は少量でも負担になりやすい

ミニチュア・シュナウザーやシェットランド・シープドッグなどは、遺伝的に脂質の代謝に配慮が必要な場合があります。

少量であっても、高脂質なホルモンは高脂血症の悪化や、嘔吐・下痢の原因になることを覚えておきましょう。

喉の詰まり・丸飲み・消化不良に注意

ホルモンは噛み切りにくい性質があるため、丸飲みのリスクが高い食材です。

必ず愛犬のサイズに合わせた極小サイズにカットし、消化を助ける工夫をしてください。

持病や療法食中は自己判断しない

腎臓病や心臓病、肝臓疾患などの持病がある場合、ホルモンの豊富な栄養素が病状を悪化させることがあります。

療法食を食べている犬には、飼い主の判断で与えてはいけません。

食後の異変と受診目安

ホルモンを食べた後に、激しい嘔吐や下痢、お腹を痛がる様子が見られたらすぐに受診してください。

特に、背中を丸めて震えている場合は、急性膵炎の疑いがあります。

犬へのホルモンの与え方

食器を差し出す飼い主に近寄る犬

安全を優先したホルモンの与え方の手順を解説します。人間用の調理法とは全く異なることを認識しておきましょう。

まず、味付けされていない新鮮な肉を用意し、沸騰したお湯で十分に加熱します。この際、一度茹でたお湯を捨てる「茹でこぼし」をすることで、余分な脂をしっかり落とせます。

加熱が終わったら、愛犬が丸飲みしても大丈夫なように細かく刻んでください。これを主食にするのではなく、いつものフードに少量トッピングする程度に留めましょう。

何度も繰り返しますが、焼肉屋さんの網で焼いた肉や、人間が食べているものをそのまま与えることは厳禁です。

犬に与えてもいいホルモンの量

食器のそばで伏せてフードを待っている犬

ホルモンの適切な摂取量は、犬の体重や年齢、体質によって大きく異なります。そのため、一概に「何グラムまでなら安全」と断定することはできません。

初めて与える際は、まずは爪の先ほどの極少量から試し、翌日の便の状態を確認してください。また、与える頻度もたまの楽しみに留め、常用するのは避けましょう。

おやつやトッピングとして与える場合は、1日の総摂取カロリーの10%以内、できればそれ以下に収めるのが基本的な考え方です。

まとめ

お皿に盛られたさまざまな種類のホルモン

ホルモンは栄養豊富な側面もありますが、犬にとっては脂質が多く消化に負担がかかる食材です。積極的に与える必要はなく、与える際も慎重な判断が求められます。

もし与えるなら、ハツなどの脂肪が少ない部位を選び、徹底的な脂抜きと加熱、細かなカットを行ってください。そして、人間用の味付けされたものは絶対に与えないよう徹底しましょう。

愛犬の健康を守るためには、リスクのある食材を無理に与えず、安全なドッグフードや犬用おやつを選ぶことが一番の近道です。