猫がイクラを食べてはいけない理由

イクラが乗ったパンと正面を見つめる猫

結論から申し上げますと、猫にイクラを与えるのは絶対にNGです。

人間にとっては栄養豊富な高級食材ですが、猫の体にとっては中毒や重篤な疾患を引き起こす危険な成分が凝縮されています。

アレルギーのリスク

イクラは魚卵であり、特定のタンパク質が猫の免疫系を過剰に刺激する可能性があります。

これを食物アレルギーと呼び、一度発症すると皮膚のかゆみや消化器系のトラブルが慢性化する恐れがあります。

塩分が多い

市販のイクラの多くは醤油や塩で漬け込まれており、非常に高い塩分を含んでいます。

猫は人間のように汗をかいて塩分を排出する能力が低いため、腎臓から尿を通じてナトリウムを排泄していますが、過剰に摂取すると腎機能が低下している場合などでは甚大な負担につながります。

猫がイクラを食べた場合の症状

窓際で悲し気な表情のまま寝そべる猫

猫がイクラを口にした場合、体質や摂取量によっては数時間以内に深刻な体調不良を引き起こすことがあります。特に警戒すべきは、即効性のあるアレルギー反応と、内臓に蓄積する塩分ダメージです。

アレルギーの症状

イクラを食べてから数分から数時間以内に、顔周りや耳を激しく痒がる、皮膚に赤みや湿疹が出る、目の粘膜が充血して腫れる、嘔吐や下痢を繰り返すといった症状が代表的です。

食物アレルギーは、イクラに含まれる特定のタンパク質を免疫系が異物と判断することで起こります。重篤な場合にはアナフィラキシーショックを引き起こし、呼吸困難や虚脱状態に陥る危険もあります。

たとえ少量であっても、過剰な免疫反応が起こる可能性はあるため注意が必要です。異変を感じたら、すぐに摂取を中止し、猫の様子を継続して観察することが求められます。

塩分過多による病気

醤油漬けなどのイクラは極めて塩分が高く、摂取することで「塩中毒」や「急性腎不全」を引き起こします。これらは水を過剰に飲む、激しい嘔吐、けいれん、昏睡といった症状を伴います。

健康な猫の腎臓は、通常の食事から摂取した程度の塩分であれば尿から十分に排出できます。しかし、中毒を引き起こすほどたくさんのイクラを食べて摂取した過剰なナトリウムは、腎臓の細胞を破壊します。

一度壊れた腎機能は元に戻らないことが多く、慢性腎不全へと移行すると寿命を縮める大きな要因となってしまいます。

また、急激な血圧の上昇は心臓にも負担をかけ、心疾患を抱える猫や高齢の猫にとっては命取りになります。見た目に変化がなくても、体内の数値が悪化している場合があるため、血液検査などの精密な確認が必要です。

猫がイクラを食べてしまった場合の対処法・予防法

台の上で横になって獣医師の診察を受ける猫

愛猫がイクラを食べてしまった際は、迅速な対応が生死を分けることもあります。自己判断で様子を見すぎず、まずは専門家のアドバイスを仰ぐことが最優先となります。

飼い主ができる応急処置・予防法

無理に吐かせようとすると、吐瀉物が喉に詰まったり食道を傷つけたりする危険があるため控えましょう。「いつ」「どのくらいの量」を食べたかをメモし、残っているイクラをすぐに片付けてください。

予防策としては、食事の際は猫を別室に移すか、蓋付きの容器を使用することを徹底します。また、ゴミ箱の中にある食べ残しを漁らないよう、蓋がロックできるタイプのゴミ箱を選ぶことも有効です。

動物病院での処置

病院では、状況に応じて催吐処置(薬で吐かせる処置)や、胃洗浄、点滴による血中ナトリウム濃度の調整などが行われます。

症状が出ていない場合でも、誤食してから1時間以内を目安にして、成分が吸収される前に受診することが重要です。

イクラの塩分による影響は、目に見えないところで進行します。手遅れになる前に、なるべく早く動物病院を受診してください。夜間や休日の場合は、救急診療を受け付けている病院に連絡しましょう。

猫に与えるならイクラの親である「鮭」を与えるのがおすすめ

鮭の切り身の隣に座っている猫

猫に魚の栄養を与えたいのであれば、イクラそのものではなく、その親である「鮭(サーモン)」を正しく調理して与えるのが、健康的で安全な選択肢となります。

鮭の栄養のメリット

鮭には良質なタンパク質のほか、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。これらは皮膚や毛並みの健康維持をサポートしてくれます。

また、アスタキサンチンという強力な抗酸化作用を持つ成分も含まれており、免疫力の維持に役立つ可能性があります。

与える際は必ず「味付けなし」のものを、中心部までしっかり加熱してからほぐして与えましょう。

アレルギーに注意する

鮭自体は優れた栄養源ですが、猫によっては鮭に対しても食物アレルギーを持っている場合があります。

初めて与える際は耳かき一杯程度の少量から試し、半日ほど体調に変化がないかを確認してください。

まとめ

スプーンでイクラをすくっている光景

猫にとって、人間用に調味されたイクラは、過剰な塩分とアレルギーリスクを孕んだ大変危険な食べ物です。「少しだけなら」という油断が、愛猫の腎臓や心臓に一生残るダメージを与えてしまうかもしれません。

もし誤食してしまったら、すぐに動物病院へ連絡することが鉄則です。

大切な家族を守るために、人間用の食べ物は猫の手の届かない場所へ厳重に保管し、安全な鮭などの適切な食材で愛情を伝えましょう。