
犬の水分補給において、基本は「新鮮な水」です。結論からお伝えすると、カフェインを含むお茶は中毒症状を引き起こす恐れがあるため与えないのが大前提となります。
もし愛犬がお茶を少し舐めてしまったり、少量飲んでしまったりした場合は、慌てずに「お茶の種類」「飲んだ量」「愛犬の体重」「摂取からの経過時間」「現在の症状」を確認し、冷静に判断することが重要です。
麦茶などのノンカフェインのお茶であっても、与える際は「無糖・常温・ごく少量」が絶対条件です。人間用の香料や甘味料が入ったもの、また濃く抽出されたものは、犬の体に負担をかける別物と考えましょう。
最近では「犬用」として販売されているお茶も見かけますが、緑茶エキスなどが含まれている場合もあります。必ず原材料ラベルを確認し、納得した上で利用するようにしてください。

お茶に含まれるカフェインは、犬の神経系を過度に刺激し、体調を崩す原因となります。重症化するリスクを避けるため、以下のカフェイン含有茶は基本的に与えないでください。
日本の家庭で最も一般的な緑茶には、多くのカフェインが含まれています。特に高級な玉露などは含有量が高いため、注意が必要です。
抹茶は茶葉を丸ごと粉末にしているため、抽出液よりもカフェイン濃度が非常に高くなります。アイスやお菓子に含まれる抹茶成分にも警戒しましょう。
香ばしさが特徴の玄米茶やほうじ茶も、ベースは緑茶の茶葉です。カフェインが含まれているため、犬には不向きな飲み物です。
また、ジャスミン茶も、一般的には緑茶の茶葉にジャスミンの花で香りをつけたお茶のため、与えないようにしましょう。
脂肪吸収を抑えるイメージがあるウーロン茶ですが、犬にとってはカフェイン源となります。トイプードルやチワワなどの小型犬には少量でも影響が出やすいです。
紅茶もカフェインが含まれているため、避けるべきです。特にストレートだけでなく、ミルクティーなどの加工飲料も砂糖や乳成分が問題になります。
中国茶の一種であるプーアル茶もカフェインを含みます。健康茶としてのイメージが強いですが、犬の生理機能には合いません。

カフェインを含まないお茶は、中毒のリスクは低いものの「水の代わり」として常用してはいけません。あくまで「たまに、ごく少量を楽しむ」程度の位置づけとして紹介します。
原料が大麦である麦茶はノンカフェインです。ミネラル補給として紹介されることもありますが、基本は真水で十分であることを忘れないでください。
マメ科の植物から作られるルイボスティーもノンカフェインです。ただし、人間用のフレーバー付きのものは避け、純粋なものを選びましょう。
そばの実が原料のお茶です。ただし、重篤なアレルギーを引き起こす可能性があるため、初めて与える際は極微量で様子を見る必要があります。
ポリフェノールが含まれますが、大豆アレルギーに注意が必要です。また、他のお茶とブレンドされていない純粋な黒豆茶であることを確認してください。
これらもカフェインを含みませんが、カリウムなどのミネラル分が豊富です。腎臓や心臓に疾患がある犬には、獣医師の相談なしに与えないでください。
どちらも香ばしい風味が特徴のお茶で、食物繊維やミネラルが豊富です。ただし、食物繊維が多いお茶は、犬の腸に負担がかかることもあるため、薄めて少量を与える程度に留めましょう。

カフェインを摂取してしまった場合、摂取後1〜2時間程度で症状が現れ始めることが多いです。愛犬の状態を以下の順序でチェックし、速やかに判断しましょう。
カフェインの覚醒作用により、理由もなく走り回ったり、落ち着きなく鳴き続けたりすることがあります。また、筋肉の震えが見られる場合も初期の中毒サインです。
胃腸が刺激され、大量のよだれを流したり、何度も吐き戻したりすることがあります。下痢を伴うことも多く、体力の消耗が懸念されます。
ハァハァと苦しそうに息をしたり、心臓の鼓動が異常に速くなったりします。フレンチブルドッグやパグなど、もともと呼吸器に特徴や病気がある犬種では特に注意深く観察してください。
足元がふらつく、全身を激しくけいれんさせる、呼びかけに反応しないといった症状は、命に関わる重篤な状態です。一刻を争うため、即座に病院へ向かってください。
激しい嘔吐が止まらない場合や、けいれん、高熱、チアノーゼ(舌が紫になる)が見られる場合は、夜間であっても救急外来を受診すべき緊急事態です。

カフェインの危険度は、犬の体重と摂取量のバランスで決まります。以下の表は、一般的な飲料100mlあたりに含まれるカフェイン量の代表値です。
| 飲み物の種類 | カフェイン含有量(100mlあたり) |
|---|---|
| 玉露 | 約160mg |
| 抹茶 | 約60mg |
| ドリップコーヒー | 約60mg |
| 紅茶・煎茶・ウーロン茶 | 約20〜30mg |
| ほうじ茶・玄米茶 | 約10〜20mg |
カフェインの致死量は、体重1kgあたり約100mg〜200mgとされていますが、個体差があり、約20mg/kg程度で中毒症状が出る可能性があります。
例えば体重3kgのチワワの場合、60mgのカフェインで症状が出る恐れがあります。これは、濃く淹れた緑茶1杯分でも危険域に達する計算です。
また、抽出された飲み物だけでなく、茶葉そのものやティーバッグを食べてしまった場合は、成分がダイレクトに吸収されるため、液体よりもはるかにリスクが高まります。

愛犬が誤ってお茶を飲んでしまったときは、飼い主の冷静な行動がその後の経過を左右します。以下の手順で対応してください。
パニックにならず、何を、いつ、どのくらいの量飲んだのかをメモします。「出がらし」なのか「濃い一杯目」なのかも重要な情報です。
まずは残ったお茶や茶葉を片付け、これ以上飲ませないようにします。興奮を抑えるため、部屋を少し暗くして静かな環境で休ませてください。
小型犬や子犬、持病のあるシニア犬が濃いお茶を飲んだ場合は、症状が出ていなくても早めに獣医師に相談してください。電話で指示を仰ぐのが最も安全です。
インターネットの情報を見て、塩水やオキシドールを飲ませて無理に吐かせることは絶対にやめてください。食道を傷めたり、誤嚥性肺炎を起こしたりする二次被害の恐れがあります。
茶葉やティーバッグを飲み込んだ疑いがある場合も同様です。不織布のパックが喉や腸に詰まる物理的なリスクもあるため、自己判断で放置せずプロの診断を受けてください。

犬にとってお茶は、健康に不可欠なものではなく、種類によってはカフェイン中毒を引き起こす危険な飲み物です。水分補給の基本は「水」であることを徹底しましょう。
万が一、愛犬がお茶を飲んでしまい、興奮や嘔吐などの異変が見られたら、迷わず動物病院を受診してください。
日頃からお茶や茶葉は犬の手の届かない場所に保管することが、最大の予防策となります。