
結論から申し上げますと、シナモンは猫に与えてはいけない食品です。
少量であっても猫の健康に悪影響を及ぼすリスクがあるため、意図的に食べさせることは絶対に避けてください。
なぜシナモンがNGなのかというと、シナモンに含まれる「クマリン」という成分を猫の体内で適切に代謝できないからです。猫の肝臓は人間や犬とは異なる特殊な代謝経路を持っており、特定の植物成分を解毒する能力が低いため、中毒症状を引き起こす恐れがあります。

シナモンの香りの成分である「クマリン」は、猫にとって肝臓毒性を持つ物質です。大量に摂ると肝臓に負担となるおそれが指摘されています。
体の小さな猫にとっては、ごくわずかな量でも内臓に大きな負担をかけてしまうため、非常に危険な成分であると認識しておく必要があります。
アップルパイやシナモンロールといったシナモン入りのお菓子も、猫には与えてはいけません。加熱されていてもクマリンの毒性は消えないため、安全になるとは限りません。
また、これらのお菓子には砂糖やバター、あるいは猫にとって猛毒となるブドウなどが含まれていることも多く、肥満や他の急性中毒を併発させるリスクも高まります。
口にするものだけでなく、空間に漂う香りにも注意が必要です。シナモンのエッセンシャルオイル(精油)を使ったアロマテラピーは、猫のいる環境では控えましょう。
猫は代謝の特性上、精油成分の影響を受けやすいとされます。ディフューザーの使用や、シナモンが香るポプリなども猫の居住スペースには置かないのが賢明です。

シナモンにはミネラルの一種であるカルシウムが豊富に含まれています。骨や歯の形成に役立つ栄養素ではありますが、猫はキャットフードから必要な量を十分に摂取できています。
そのため、カルシウムを補給する目的でリスクのあるシナモンをあえて与えるメリットはありません。過剰摂取は尿石症の原因になることもあるため、バランスが守られた食事を優先すべきです。
赤血球のヘモグロビンを作るために必要な鉄分も、シナモンに含まれる成分のひとつです。不足すると貧血の原因になりますが、猫にとっては動物性タンパク質から摂取する鉄分の方が吸収効率が良いとされています。
植物であるシナモンから鉄分を摂らせようとする行為は、消化吸収の面から見ても猫の生態に合っておらず、中毒のリスクを冒してまで摂取させる必要はありません。
マンガンは多くの酵素の活性化に関わる微量ミネラルです。抗酸化作用や代謝を助ける働きがありますが、こちらも通常の食事で必要量は満たされます。
シナモンに含まれる成分の中で、最も警戒すべきなのがこのクマリンです。バニラに似た甘い香りの元となる芳香成分ですが、猫にとっては肝臓の働きを阻害する毒性物質となります。
特に「カシア」と呼ばれる種類のシナモンには、クマリンが高濃度に含まれていることが多いため、キッチンで保管しているスパイスの取り扱いには細心の注意を払ってください。

もし猫がシナモンパウダーを鼻先に付けたり、お菓子の破片をひとなめしたりした程度であれば、まずは落ち着いて経過を観察しましょう。
すぐに症状が出ない場合でも、数時間は吐き気やよだれ、元気があるかどうかを確認してください。ただし、子猫やシニア猫、持病がある猫の場合は、少量でも体調を崩しやすいため、より慎重な判断が求められます。
シナモンによる中毒やアレルギー反応が出た場合、嘔吐や下痢、口の周りの赤み、呼吸の乱れなどの症状が見られることがあります。
また、重症化すると肝機能障害による黄疸(白目や皮膚が黄色くなる現象)や、ぐったりとして動かなくなるなどの症状が現れます。これらの変化を見逃さないよう、食後しばらくは行動を注視することが大切です。
大量に食べてしまった場合や、何度も吐く、痙攣(けいれん)を起こす、呼吸が苦しそうといった症状がある場合は、直ちに動物病院を受診してください。
受診の際は「いつ」「どのくらいの量を」「どんな形態で(粉末か、お菓子か等)」食べたかを獣医師に伝えましょう。食べてしまったもののパッケージや残骸を持参すると、より迅速で正確な処置につながります。

猫にとってシナモンは、肝臓に負担をかける「クマリン」を含むため、与えてはいけない食品です。パウダー状のスパイスだけでなく、お菓子やアロマテラピーなど、日常生活の至る所に危険が潜んでいます。
大切な家族である猫の健康を守るためには、人間の食べ物を安易に与えないことが基本です。
もし誤食して不安な場合は、自己判断せずに専門家である獣医師の診断を仰ぐようにしましょう。