
人間用のわさびは、猫に決して与えてはいけない食品です。
たとえ少量であっても、猫の健康を著しく損なう恐れがあるため、食卓にある刺身の添え物などを興味本位で舐めさせないよう徹底してください。
そもそも、根本的に人間用と猫用の食べ物を分けて考える必要があるのは、両者の代謝機能や体の大きさが全く異なるためです。
人間にとっては安全、あるいは健康に良いとされる成分であっても、肉食動物である猫の体内では適切に分解できず、猛毒として作用したり、内臓に過度な負担をかけたりすることが少なくありません。

人間にとっての薬味は、猫の生理機能にとっては過剰な刺激となります。猫の体が人間用のわさびを受け付けない具体的な理由について、主な2つのポイントを解説します。
わさび特有の強い辛み成分は、猫の口腔内から食道、そして胃腸の粘膜を激しく刺激します。
猫の消化器は非常にデリケートであるため、刺激物を摂取すると激しい腹痛や下痢、嘔吐を引き起こす原因になります。
わさびに含まれる成分の一部は、甲状腺へのヨウ素の取り込みを阻害する性質を持っています。
そのため、特に甲状腺機能亢進症などの疾患を抱えている猫が大量に摂取すると、病状を悪化させるリスクが高まる可能性があります。

人間が口にするわさび、特に加工された製品には複数の成分が含まれています。これらが猫の体内でどのような悪影響を及ぼす可能性があるのかを詳しく見ていきましょう。
わさびの辛みの主成分であるアリルイソチオシアネートは、非常に強力な刺激性を持っています。
人間には抗菌作用などのメリットがありますが、猫にとっては消化管の粘膜を刺激する有害な物質として作用してしまいます。
市販のチューブわさびには、保存性を高めるための塩分や香料、着色料が含まれています。
これらは猫の腎臓に過度な負担をかけるだけでなく、添加物に対するアレルギー反応を引き起こす可能性も否定できません。

もし愛猫が誤ってわさびを口にしてしまったら、飼い主は冷静な判断を求められます。摂取した量やその後の体調変化に応じて、以下の手順で適切な対応を行ってください。
ペロリと一口舐めた程度の少量であれば、まずは落ち着いて猫の様子を観察してください。
口の周りにわさびが付いている場合は、清潔な濡れタオルなどで優しく拭き取り、刺激が残らないようにしてあげることが大切です。
口腔内は可能であれば洗い流してあげると良いですが、猫がわさびの辛みでパニックになっている場合は飼い主が咬まれて怪我をしてしまうこともあるので、無理に行わないようにしましょう。
誤食後数時間は、猫に異変がないか注視してください。
具体的には、何度も吐く動作をする、下痢をする、よだれが止まらない、口の中を気にして前足で顔をこする、といった症状が現れる場合は注意が必要です。
大量に食べてしまった場合や、激しい嘔吐・ぐったりして動かないなどの明らかな異常が見られる場合は、迷わず動物病院を受診してください。
受診の際は「いつ」「どのくらいの量を」食べたかを獣医師に正確に伝えてください。

人間用のわさびは、猫の胃腸や内臓に深刻なダメージを与える刺激物です。
健康な猫はもちろんのこと、特に持病がある猫にとっては病状が悪化するリスクも考えられるため、飼い主は徹底した管理を行う必要があります。
愛猫が欲しがったとしても、人間用の調味料を与えることは愛情ではなく健康を損なう行為になってしまいます。万が一の誤食の際には、猫の状態を冷静に把握し、必要に応じて迅速に専門医の診察を受けるようにしてください。