猫に人間用の梅干しを与えるのはNG

悲しげな表情で床に寝転ぶ猫

人間用の梅干しは、猫に与えてはいけない食品です。

一口食べたからといってすぐに命に関わるケースは稀ですが、猫の体にとっては有害な成分や物理的なリスクが多く含まれています。

人間用の梅干しと猫用の食品を分けて考える必要がある最大の理由は、体の大きさや代謝機能の違いにあります。

人間にとって健康に良いとされる塩分量や成分であっても、体重数キログラムの猫にとっては許容量を大きく超え、内臓疾患を引き起こす危険性があるためです。

猫に人間用の梅干しを与えてはいけない理由

重ねて置かれた3個の梅干し

猫の体質は人間とは大きく異なります。人間が美味しいと感じる味付けや加工が、愛猫の健康を脅かす具体的な理由について確認していきましょう。

塩分量が多く腎臓の負担となる

人間用の梅干しは、保存性を高めるために非常に多くの塩分を含んでいます。

猫は不要な塩分を尿から排泄できますが、腎機能が低下していると過剰な塩分摂取が負担となる場合があります。

多くの猫種にとって、腎臓病は注意すべき疾患の一つです。わずかな量であっても、塩分の高い梅干しを与えることは、将来的な病気の悪化リスクを急激に高める原因となり得ます。

添加物が含まれている(保存料・甘味料・着色料など)

市販の梅干しには、保存料や調味料、着色料といった多くの添加物が使用されています。

例えば、甘みのある「はちみつ梅」などには、人間には無害でも猫の胃腸に刺激を与える香料が含まれていることがあります。また、低カロリー商品に使用される人工甘味料の中には、猫に対する安全基準が確立されていないものも存在します。

こうした化学物質は猫の小さな肝臓で適切に処理できず、体調不良を招く可能性が非常に高いです。

梅干しの種は窒息や腸閉塞の原因に

物理的な危険として最も注意すべきなのが「種」です。梅干しの種は硬く、表面がざらついているため、飲み込もうとした際に喉に詰まって窒息するリスクがあります。

さらに、胃を通り抜けたとしても、小さな猫の腸に種が詰まる「腸閉塞(ちょうへいそく)」を引き起こす危険性があります。

腸閉塞は激しい嘔吐を伴い、最悪の場合は命に関わるため、緊急の外科手術が必要になるケースも少なくありません。

人間用の梅干しに含まれる成分

梅の実の匂いを嗅ぐ猫

梅干しに含まれる成分は、人間にとっては疲労回復などに役立つものです。しかし、猫の栄養バランスから見ると、不要なものや過剰摂取が毒となるものが含まれています。

クエン酸とリンゴ酸の猫への影響

梅にはクエン酸やリンゴ酸といった有機酸が豊富に含まれています。人間にとっては疲労回復に役立つ成分ですが、肉食動物である猫の胃腸には刺激が強すぎることがあります。

過剰に摂取すると、胃粘膜を荒らしたり、下痢や嘔吐といった消化器症状を引き起こしたりする場合があるため注意が必要です。

猫は本来、酸味を「腐敗」と判断して避ける動物ですが、加工された匂いに釣られて食べてしまうリスクがあります。

カリウムの過剰摂取リスク

梅干しにはカリウムも含まれています。カリウムは細胞の浸透圧を調整する重要なミネラルですが、特に腎機能が急速に低下している猫が摂取すると「高カリウム血症」を招く恐れがあります。

高カリウム血症になると、心臓の機能に悪影響を及ぼし、不整脈などの重大な症状につながる可能性があります。

健康な猫であっても、あえて塩分濃度の高い梅干しからカリウムを摂取させるメリットはありません。

アミグダリン(青梅に含まれる中毒成分)

梅の種や未熟な果肉には、アミグダリンという成分が含まれています。これが体内で分解されると、毒性の強いシアン化合物が発生し、呼吸困難などの中毒症状を起こす危険があります。

梅干しとして加工される過程で毒性は低減しますが、個体差や加工状態によっては完全に安全だとは保証できません。愛猫にリスクを負わせないためにも、梅に関連する食品は遠ざけるのが賢明です。

人間用の梅干しを誤食した場合の対処法

聴診器を当てようとしている獣医師と診察台の上の猫

もし猫が梅干しを食べてしまったら、焦らずに状況を確認することが重要です。摂取した量や猫の状態に合わせて、適切なステップを踏んで対応しましょう。

少量を食べた場合は様子を見る

梅干しの果肉をほんの少し舐めてしまった程度であれば、まずは落ち着いて自宅で様子を観察してください。

すぐに深刻な中毒症状が出ることは稀ですが、その後24時間から48時間は排便の状態や食欲に変化がないかを確認します。

ただし、これは持病のない健康な成猫が「果肉のみ」を少量口にした場合に限ります。少しでも不安を感じる場合や、子猫・老猫の場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

注意すべき症状

誤食した後に、以下のような症状が見られた場合は体内で異常が起きているサインです。

特に激しい嘔吐が続く場合や、お腹を触られるのを嫌がる場合は、消化管に問題が生じている可能性があります。ぐったりとして元気がない、何度も吐く、下痢をしている、よだれが異常に多いといった症状に注意してください。

また、多量の塩分を摂取したことにより、水を飲む量が異常に増えるといった変化が見られることもあります。

すぐに動物病院を受診すべきケース

「大きな種を丸呑みした」ことが明らかな場合は、症状が出ていなくても直ちに動物病院を受診してください。

種は自然に排泄されるのが難しく、時間が経過するほど腸に詰まるリスクが高まり、処置が困難になります。

受診の際は「いつ」「どの程度の量を」「どんな種類の梅干し」を食べたかを獣医師に正確に伝えてください。成分表示があるパッケージを持参すると、より迅速で的確な診断と処置を受けることができます。

まとめ

白いお皿に置かれた梅干し

人間用の梅干しは、過剰な塩分や添加物、窒息のリスクがある種など、猫にとって危険な要素が多い食品です。「一口くらいなら」という油断が、愛猫の腎臓や消化管に大きなダメージを与えることになりかねません。

愛猫が食卓の食べ物に興味を示したときは、猫専用のおやつを与えるなどして、人間の食べ物を与えない習慣を徹底しましょう。

万が一の誤食の際には、食べた物の詳細を把握し、冷静に専門医の判断を仰ぐことが大切です。