
結論からお伝えすると、犬にキムチを基本的に与えてはいけません。キムチには、犬の健康を著しく損なう恐れのある成分が多く含まれているためです。
もし愛犬がうっかりキムチを舐めてしまったり、口にしたりした場合は、単に「食べた量」だけで判断せず、「含まれる材料」や「犬の体格・体調」に注目する必要があります。
これらによって必要な対応が大きく変わるため、状況を正確に把握することが重要です。詳しい「症状」や「対処法」については、記事の後半で解説します。
また、犬はキムチ特有の刺激臭を好むわけではありませんが、魚介の旨味や肉の脂の匂いにつられて誤食しやすい点には、十分な注意喚起が必要です。

キムチが犬にとって非常にリスクの高い食べ物とされるのには、いくつかの明確な理由があります。単なる「刺激物」という言葉では済まされない、具体的な要因を解説します。
多くのキムチには、にんにく、ニラ、ときには玉ねぎなどのネギ類が薬味として使われています。
これらは犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こす大変危険な食材です。
メイン食材である唐辛子に含まれるカプサイシンは、犬の胃腸にとって過度な刺激となります。
激しい下痢や嘔吐を招くだけでなく、消化管の粘膜を傷つける恐れがあります。
キムチは塩分が非常に高く、特にキムチ鍋の汁や味付け料理になると塩分濃度はさらに増します。
特に体の小さなトイ・プードルやチワワのような小型犬にとって、過剰な塩分は心臓や腎臓に大きな負荷をかける可能性があります。
魚醤やアミの塩辛といった発酵調味料、あるいは保存料などの添加物が体質に合わない場合があります。
アレルギー反応や、デリケートな消化機能への悪影響が懸念されます。
キムチは製品やレシピによって中身が大きく異なります。「これなら大丈夫」と過信せず、パッケージの原材料表示を細部まで確認することがリスク回避に繋がります。
なお、キムチ単体よりも、キムチ鍋や豚キムチなどの「料理」として口にした場合、一緒に調理された玉ねぎの成分が汁に溶け出すなど、リスク要因がより増えやすくなります。

犬がキムチを食べてしまった際、現れる症状は多岐にわたります。自宅で受診の緊急度を判断できるよう、軽いものから順に整理して解説します。
口の中のヒリつきから「よだれ」が止まらなくなったり、胃への刺激で何度も「嘔吐」したりします。
また、後から激しい下痢や食欲低下が見られることも多く、初期のサインとして重要です。
唐辛子の成分が粘膜を刺激し、しきりに口を気にしたり、喉の違和感から咳き込んだりすることがあります。
これらは痛みや不快感を伴う症状であり、犬がパニックを起こすこともあります。
なんとなく元気がない、動きが鈍いといった全身の不調として現れる場合もあります。
嘔吐や下痢によって体力を消耗していたり、中毒成分の影響がじわじわと体に回り、活動量が低下していることが考えられます。
体が震えている、ぐったりして意識が混濁している、呼吸が苦しそうといった様子は緊急事態です。これらは急性の中毒やショック状態の可能性があるため、一刻も早い受診が必要です。
なお、ネギ類の中毒症状などは摂取後すぐに出ない場合がある点に注意してください。体質や体格、食べた内容によって症状の出方は大きく変わるため、数日間は経過観察が必須です。

「どのくらいの量なら大丈夫ですか?」という質問に対し、安全な量を一律に決めることは困難です。なぜなら、量だけでなく「材料(ネギ類の有無)」や「濃さ(汁やタレ)」で危険度が劇的に変わるからです。
また、犬の体格、年齢、持病の有無によっても耐性は異なります。例えば、柴犬のような中型犬にとっての「ひと口」と、超小型犬にとっての「ひと口」では重みが違います。
「舐めた程度」であれば、まずは可能な範囲で犬の口の中を水で洗い流し、半日は異変がないか慎重に様子を見ます。「ひとかけら」以上を食べた、あるいは「汁を飲んだ」場合は、ネギ成分や塩分を直接摂取しているため危険です。
「具材まで食べた」ケースでは、中毒物質を大量に含んでいる可能性が高いため、症状の有無に関わらず、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

愛犬がキムチを誤食した際、飼い主様が取るべき行動をフロー形式で解説します。慌てず、まずは以下の手順に従って動くようにしてください。
何時頃に、どのくらいの量を食べたのかを特定してください。
また、製品名や原材料表示を確認し、現在の犬の様子(呼吸、意識、嘔吐の有無)を把握します。
自己判断で無理やり吐かせようとしないでください。
吐瀉物が気管に入って誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こしたり、食道を傷つけたりする危険があります。
ネギ類が含まれていた場合や、愛犬に少しでも異変が見られる場合は、すぐに病院へ連絡してください。
「迷ったら早めに相談する」スタンスが、愛犬の命を守ることに繋がります。
獣医師には、摂取した時間、量、原材料がわかるパッケージ写真や、残り物の実物を伝えてください。
これらの情報は、毒性を判断し、適切な処置を行うための重要な手がかりとなります。
キムチ鍋や豚キムチなどの「料理」だった場合、具材に含まれていたネギや玉ねぎの量、そして汁をどの程度飲んだかを確認してください。味付けの濃さも重要な情報になります。

犬にとってキムチは、ネギ類の中毒リスクや過剰な塩分、刺激物など、避けるべき要素の塊です。「少しなら大丈夫」と安易に考えず、絶対に与えない環境作りを徹底してください。
万が一食べてしまったときは、食べた物の詳細を把握し、冷静に動物病院へ相談することが大切です。愛犬の体格や体調を考慮し、迅速かつ適切な対応で大切な家族の健康を守りましょう。