
バジルは、与える量や方法にさえ気をつければ、基本的に犬に与えても問題のないハーブです。
パスタやピザの彩りとしておなじみのバジルですが、犬にとっては「風味づけ」や「トッピング」程度の少量を楽しむものと考えてください。
バジルそのものに毒性はありませんが、大量摂取や、人間用の加工品(塩分・油分・香辛料、玉ねぎ・にんにく等を含むもの)を与えると、下痢・嘔吐などのトラブルにつながる恐れがあります。
生のバジルを与えることも可能ですが、犬の小さな胃腸に負担をかけないよう、適切な下処理と「ごく少量」というルールを守ることが何よりも重要です。

バジルには、犬の健康維持をサポートするさまざまな栄養素が凝縮されています。
ただし、特定の栄養成分が豊富だからといって、そればかりを過剰に摂取させるのは禁物です。それぞれの成分が犬の体にどのようなメリットをもたらすのか、また注意すべき点はどこかを正しく理解しておきましょう。
バジルには、視力の維持や皮膚の健康を助けるビタミンA(β-カロテン)や、免疫力の維持に役立つビタミンC、血流をサポートするビタミンEが含まれています。
これらは抗酸化作用を持っており、体内の活性酸素を取り除いて老化防止を助ける効果が期待できます。
ただし、ビタミンE・Aは脂溶性ビタミンの側面も持つため、サプリメントのように凝縮された形ではなく、あくまで食材から自然に摂取する範囲に留めるのが理想的です。
カルシウムやマグネシウムといった、骨や歯の健康維持に欠かせないミネラル分もバジルには含まれています。
小型犬にとって、日々の食事から微量のミネラルを補えるのはメリットと言えるでしょう。
しかし、ミネラルの摂りすぎは腎臓や結石の既往歴がある犬にとっては負担になる場合があるため、体質に合わせた配慮が必要です。
バジルには不溶性の食物繊維が含まれており、適量であれば腸内環境を整え、便通をサポートする役割を果たします。
一方で、犬は植物性繊維を消化しにくい傾向にあるため、大量に与えると逆に便秘や下痢を引き起こす原因となります。
バジルの独特な香りの元であるリナロールなどの精油成分や、ポリフェノールには、リラックス効果や抗炎症作用があると考えられています。
食欲が落ちているシニア犬などにとって、バジルの爽やかな香りは食欲を刺激する良いアクセントになります。
ただし、香りが強すぎると鼻の利く犬にとってはストレスになることもあるため、個体差を見極めることが大切です。

バジルを愛犬に与える際は、「毎日食べるメイン食材」ではなく、あくまで「たまに楽しむ嗜好品」としての量を守りましょう。
犬の体格によって、安全に消化できる許容量は大きく異なります。
以下の表は、健康な成犬が1日に摂取しても良いとされるバジルの目安量です。
| 犬の大きさ(体重) | 1日の目安量(生の葉の場合) |
|---|---|
| 超小型犬(4kg未満) | 葉1/4枚〜半分程度 |
| 小型犬(10kg未満) | 葉1枚程度 |
| 中型犬(25kg未満) | 葉2枚〜3枚程度 |
| 大型犬(25kg以上) | 葉4枚〜5枚程度 |
初めてバジルを与える際は、上記の目安量よりもさらに少ない「爪の先ほどの量」からスタートし、食後の便の様子や体調に変化がないかを確認してください。
子犬やシニア犬は消化能力が不安定なため、成犬よりもさらに控えめな量に留めるのが無難です。

良かれと思って与えたバジルが、愛犬の健康を損なう原因になっては本末転倒です。安全に楽しむためには、人間とは異なる「犬専用のルール」を把握しておく必要があります。
特に加工品については、命に関わる危険が含まれているため細心の注意を払いましょう。
生のバジルを与えるときは、まず農薬や汚れを落とすために流水でしっかりと洗浄してください。
その後、必ず細かくみじん切りにします。前述した通り、犬は植物の繊維を消化するのが苦手です。
大きな葉のまま与えると、喉に張り付いたり、消化不良を起こしてそのまま排出されたりすることがあるため、十分に細かくすることがポイントです。
ドライハーブとしての乾燥バジルは、成分が凝縮されているため香りが非常に強く、少量でも犬にとっては刺激が強すぎることがあります。
また、市販の乾燥バジルには他の香辛料や塩分が混ざっている商品もあるため、必ず原材料を確認しましょう。基本的には、香りが飛びにくい新鮮な生バジルをその都度刻んで使うのが最も安全です。
ダイエット食品として知られるバジルシードを犬に与える場合は、必ずたっぷりの水で戻してゼリー状にしてから与えてください。乾燥したままの状態で与えると、犬の胃腸内の水分を吸収して膨らみ、消化管を圧迫するリスクがあります。
戻した後も、小さじ1杯にも満たない程度の極少量に留めるのが鉄則です。
人間用のバジルソース(ジェノベーゼ)には、犬にとって猛毒となる玉ねぎやにんにくが含まれていることがほとんどです。これらを摂取すると「溶血性貧血」を引き起こし、最悪の場合は死に至る危険があります。
また、人間用の製品は塩分やオリーブオイルの量も過剰なため、一口であっても絶対に与えないでください。
犬は人より嗅覚が非常に優れているため、人間にとって良い香りでも、犬にとっては不快な刺激臭に感じることがあります。もしバジルを近づけたときに顔を背けたり、くしゃみをしたりする場合は、無理に食べさせる必要はありません。
愛犬の好みを尊重し、嫌がるサインを見逃さないようにしましょう。
バジルに対してアレルギー反応が出る犬も稀に存在します。食べた後に「体を痒がる」「目の周りが赤くなる」「下痢や嘔吐をする」といった症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止してください。
症状が重い場合や、数時間経っても治まらない場合は、動物病院を受診しましょう。
腎臓病や心臓病などの持病がある犬や、継続的に薬を服用している犬の場合は、自己判断でバジルを与えないでください。
バジルに含まれるカリウムなどのミネラル成分が、病状や薬の効果に影響を及ぼす可能性があります。
必ず事前にかかりつけの獣医師に相談し、許可を得てから取り入れるようにしましょう。

バジルの風味を活かした、犬に優しい手作りレシピをご紹介します。
すべての料理において「味付け一切なし」が基本です。愛犬の体重に合わせた分量を守って作りましょう。
鶏ささみと野菜を茹でたものに、仕上げに刻んだバジルを散らすだけの簡単レシピです。
材料は、鶏ささみ1本、キャベツ少々、生のバジル微量です。作り方は、ささみと刻んだキャベツを芯まで柔らかく茹で、冷ましてから食べやすい大きさにカットします。
最後に細かく刻んだバジルをふりかければ完成です。いつものドライフードへのトッピングとしても活用できます。
低脂質で消化に良い白身魚を使った、香り豊かなメニューです。
材料は、タラなどの白身魚(骨を完全に取り除いたもの)1切れ、少量の水、生のバジル微量です。
作り方は、耐熱容器に魚と少量の水を入れ、ふんわりとラップをして電子レンジで加熱するか、蒸し器で蒸し上げます。
魚の身を細かくほぐし、バジルを混ぜ合わせてから、人肌程度に冷まして与えてください。
彩りが良く、おやつとして持ち歩きにも便利な野菜クッキーです。
材料は、小麦粉(または米粉)50g、ミニトマト1個、水少々、細かく刻んだバジル微量です。
ミニトマト(完熟果のみ、ヘタ・茎葉は使わない)は皮を剥いて種を取り、すりつぶして他の材料と混ぜ合わせます。薄く伸ばして型抜きをし、180℃に予熱したオーブンで15分ほど焼けば完成です。保存料がないため、早めに使い切りましょう。

バジルは、量と与え方さえ間違えなければ、犬の食卓を豊かにしてくれる素晴らしいハーブです。ビタミンやミネラル、抗酸化成分を含み、その爽やかな香りは愛犬の食欲を刺激する助けとなります。
一方で、にんにく等を含む人間用のソースは絶対に避けること、そして必ず細かく刻んで消化を助ける工夫を忘れないでください。どんな犬種であっても、「ごく少量をたまに楽しむ」というスタンスが健康維持の秘訣です。
愛犬の体調や好みを観察しながら、安全にバジルを日々のライフスタイルに取り入れてみてください。