犬は片栗粉を食べても大丈夫?

舌で口元を舐めながら上を見上げる犬

片栗粉そのものには犬に中毒を引き起こす成分は含まれておらず、少量であれば食べさせても大丈夫な食材です。じゃがいもから抽出された「でんぷん」が主成分であるため、中毒の心配はありません。

しかし、片栗粉はあくまで「とろみ付け」や「つなぎ」として補助的に使う粉であり、肉や野菜のようにメインの栄養補給を目的とするものではありません。主食として与える食材ではないことを理解しておきましょう。

基本的には安全な食材ですが、食べ過ぎると消化不良を起こしたり、体質や持病によっては体に負担をかけたりするリスクもあります。特に初めて与える際や持病がある場合は、慎重な判断が必要です。

片栗粉に含まれる栄養成分と犬への影響

じゃがいもと器に盛られた片栗粉

片栗粉の性質を正しく理解するために、含まれている成分が犬の体にどのような影響を与えるのかを解説します。基本的には「エネルギー源」としての側面が強い食材です。

主成分であるでんぷん(炭水化物)

片栗粉の成分は、水分を除くとほぼ100%がでんぷんです。でんぷんは体内で糖質に分解され、犬が生きていくための大切なエネルギー源となります。

片栗粉のでんぷんも、きちんと加熱すれば犬のエネルギー補給の一部として役立つ場合があります。

ごくわずかなたんぱく質と脂質

片栗粉には、筋肉を作るたんぱく質やエネルギー効率の良い脂質はほとんど含まれていません。

そのため、片栗粉だけで犬に必要な栄養をバランス良く摂取することは物理的に不可能です。

微量に含まれるミネラル類

カリウムやリンといったミネラルがごくわずかに含まれていますが、サプリメントや野菜のような栄養価は期待できません。

あくまで「栄養が豊富だから与える」のではなく、食感を変えるためのツールと捉えましょう。

犬に与えてもいい片栗粉の量

スプーンに盛られた片栗粉

片栗粉は、お肉や野菜のようにメインの食材として「食べさせる」ものではなく、食事の喉越しを良くしたり、手作りおやつの形を整えたりするために「少量混ぜて使う」のが大前提です。

1日あたりの使用目安量は、超小型犬(3kg以下)なら小さじ1/4杯程度、小型犬(5kg前後)なら小さじ1/2杯程度、中型犬(10kg前後)なら小さじ1〜2杯、大型犬(25kg以上)なら小さじ2〜3杯までを目安にしましょう。

初めて片栗粉を取り入れる際は、アレルギーや体質との相性を確認するため、上記の目安量に関わらず「耳かき1杯程度」の極少量からスタートしてください。食べた後の便の状態や皮膚に変化がないか、24時間は様子を見るようにします。

片栗粉は炭水化物が凝縮された食材であるため、過剰に摂取するとカロリーオーバーによる肥満の原因になります。また、一度にたくさん摂取すると消化が追いつかず、お腹がゆるくなったり、逆に便が硬くなったりするなどの消化器トラブルが起こり得ます。

与える頻度は毎日ではなく、食欲が落ちている時のサポートや特別な日のおやつ作りなど、限定的な使用に留めるのが理想的です。愛犬の主食である総合栄養食の栄養バランスを崩さないよう、全体の食事量の1割未満に収める方針で活用しましょう。

犬に片栗粉を与える際の注意点

床に伏せて眠っている犬

片栗粉を安全に愛犬の食事に取り入れるためには、いくつかの守るべきルールがあります。間違った与え方は、かえって体調を崩す原因になるため注意してください。

粉のまま与えず必ず加熱してとろみを付ける

片栗粉を生の(粉のままの)状態で与えるのは厳禁です。粉を吸い込んでむせてしまったり、生のでんぷんは消化しにくいため下痢を引き起こしたりする恐れがあります。

必ず水で溶いて加熱し、アルファ化(糊化)させてから与えましょう。

与えすぎによる消化器トラブルと肥満への警戒

片栗粉を摂りすぎると、お腹の中で水分を吸収しすぎたり、逆に消化が追いつかなくなったりして、便秘や下痢の原因になります。

また、炭水化物のためカロリーがあり、日常的な多用は肥満に直結します。

腎臓など持病がある場合は自己判断を避ける

片栗粉はリンやカリウムが少ない食材ではありますが、腎臓病や糖尿病などの持病がある犬の場合、わずかな成分の変化が体調に響くことがあります。

治療中の場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してから取り入れてください。

人間用に味付けされた料理のお裾分けは厳禁

とろみがついた人間用の中華料理やスープには、塩分、香辛料、タマネギエキスなどの犬にとって危険な成分が含まれています。

片栗粉そのものが大丈夫でも、味付けされた料理を与えるのは絶対にやめましょう。

犬におすすめの片栗粉を使った簡単おやつレシピ

シェフ帽をかぶって調理器具のそばに座る犬

犬にとって安全な食材のみを使い、消化に優しく、アレルギーにも配慮した片栗粉レシピを紹介します。

サクサク食感の片栗粉ボーロ

材料は、片栗粉50g、卵黄1個、すりつぶした蒸しカボチャ(またはサツマイモ)15g程度です。ボウルですべての材料を混ぜ合わせ、耳たぶほどの硬さになったら、小さく丸めて180度のオーブンで約10〜15分焼きます。

焼き上がったボーロは、トイ・プードルなどの小型犬なら1日5粒以内を目安に与えましょう。

サクサクとした乾いた食感を楽しめますが、水分を吸いやすいため、必ず愛犬が飲み込めるサイズに調整し、新鮮な水と一緒に与えるのがポイントです。

鶏ささみと野菜のとろみスープ

細かく刻んだ鶏ささみ15gと、小さく切ったキャベツや人参を水から煮込みます。具材に火が通ったら、水溶き片栗粉(小さじ1/2程度)を回し入れ、一煮立ちさせてとろみを付けます。

1回あたりの給与量は、体重5kgの小型犬で大さじ1〜2杯程度が目安です。

とろみを付けることで喉越しが良くなり、普段あまり水分を飲まない犬の水分補給や、食欲が落ちている時のトッピングとして非常に効果的です。

片栗粉で作るもちもちミルクゼリー

犬用ミルク(または無調整豆乳)100mlに対し、片栗粉大さじ1を鍋に入れて火にかけます。焦げないように混ぜ続け、透明感と粘りが出たら火を止め、平らな容器に移して冷やし固めます。

給与量は、小型犬なら2cm角のひとくちサイズ1個、大型犬でも3〜4個程度に留めましょう。

プルプルとした食感で嗜好性が高いですが、冷たすぎるとお腹を冷やす原因になるため、常温に戻してから与えるのが安心です。

まとめ

水で溶いた片栗粉をスプーンですくっている光景

片栗粉は、犬にとって中毒性のない安全な食材ですが、あくまで「料理をサポートする補助的な粉」です。

栄養の大半は炭水化物(でんぷん)であるため、エネルギー補給や食感の改善に活用するのが正しい使い方です。与える際は必ず加熱してとろみを付け、愛犬の体重に合わせた適量を守ることが大切です。

適切な量と調理法を守れば、手作りごはんのレパートリーを広げる便利な味方になってくれるでしょう。