猫に人間用の餅を与えるのはNG

ざるの上に置かれた餅の匂いを嗅いでいる猫

人間用の餅は猫に与えてはいけない食品です。お正月などの行事で食卓に並ぶ機会が多い餅ですが、愛猫が欲しがっても決して与えないでください。

人間用の餅は、人間が咀嚼して飲み込むことを前提に作られており、猫の口腔構造や消化器官の仕組みには全く適していません。

人間にとっては伝統的な美味しい食べ物であっても、猫にとっては命に関わる重大な事故や体調不良を引き起こす危険な物体であることを理解する必要があります。

猫に人間用の餅を与えてはいけない理由

悲し気な表情で寝転んでいる猫

人間用の餅が猫にとって危険である理由は、単に栄養面の問題だけではありません。身体の構造上、物理的なリスクが非常に高いことが大きな要因です。

口の中にくっつく

餅の最大の特徴である強い粘り気は、猫にとって非常に危険です。猫の口内や上顎、歯に餅が張り付いてしまうと、自力で取り出すことが困難になります。

パニックに陥った猫が暴れることで口の中を傷つけたり、無理に剥がそうとして飼い主が噛まれたりする二次被害のリスクも高まります。

のどに詰まる

猫は食べ物を丸呑みする習性があるため、粘り気のある餅はのどに詰まりやすく、窒息事故を引き起こす可能性が極めて高いです。

もしも窒息事故が起きると、どのような品種・体格の猫であっても短時間で命を落とす危険があります。

アレルギーに注意

餅の原料であるもち米に対して、食物アレルギー反応を示す猫もいます。アレルギーを持つ猫が摂取すると、皮膚の痒みや赤み、下痢、嘔吐などの症状が現れます。

これまで穀物入りのフードで問題がなかったとしても、もち米が引き金となる可能性があるため、注意が必要です。

消化しづらい

もち米に含まれるアミロペクチン(デンプン)という成分は、加熱して粘りが出た状態では猫の消化酵素で分解しにくい性質を持っています。

猫の短い腸では餅をスムーズに消化できず、激しい胃腸の不調や、最悪の場合は腸閉塞(内容物が詰まる状態)を招く恐れがあります。

肥満の原因になる

餅は炭水化物の塊であり、非常にカロリー密度が高い食品です。少量を摂取しただけでも、体の小さな猫にとっては過剰なエネルギー摂取となります。

日常的に炭水化物を多く摂取することは、糖尿病のリスクを高め、体重増加による関節への負担を増大させる直接的な原因となります。

人間用の餅に含まれる成分

ざるの上に置かれた四角い切り餅

人間が食べる餅には、猫の健康を維持するために必要な栄養素はほとんど含まれておらず、むしろ過剰摂取が毒となる成分が目立ちます。

炭水化物(糖質)

餅の主成分は炭水化物です。人間にとってはエネルギー源として有益ですが、完全肉食動物である猫は炭水化物を効率よく利用できる体質ではありません。

猫の食生活において、穀物由来の多量な糖質は必要不可欠なものではなく、むしろ内臓への負担や血糖値の急上昇を招くリスクの方が上回ります。

アミロペクチン

もち米のデンプンの大半を占めるアミロペクチンは、あの独特の「粘り」を生み出します。この成分が加熱によって糊状になることで、のどへの吸着性を高めます。

人間は唾液中のアミラーゼで分解を助けますが、猫の唾液にはアミラーゼがほとんど含まれていないため、口に入れた瞬間から分解・処理が困難な物質となります。

水分と密度

市販の切り餅などは水分を適度に含み、非常に高い密度で圧縮されています。この密度の高さが、猫の小さな胃袋に対して過度な膨満感を与えます。

少量でも胃の中で水分を吸って膨らむ性質があるため、消化不良による嘔吐を引き起こしやすく、猫の健康を著しく阻害する要因となります。

人間用の餅を誤食した場合の対処法

獣医師の診察を受ける猫

もし愛猫が目を離した隙に餅を食べてしまったら、焦らずに適切な対応を取る必要があります。状況に応じた判断基準を確認しましょう。

少量を食べた場合は様子を見る

もし米粒程度の極めて少量を食べてしまい、現在進行形でのどに詰まっている様子がなければ、まずは落ち着いて猫の行動を観察してください。

その際、無理に吐かせようとすると餅が逆流してのどに詰まる二次被害のリスクがあるため、自己判断で吐かせる処置を行うのは厳禁です。

注意すべき症状

誤食後、数時間は「よだれが異常に出る」「口を気にして前足で掻く」「呼吸が荒い」「何度も吐こうとする仕草」がないかを確認します。

また、数日経ってから下痢や便秘、食欲不振が起こることもあります。これは消化器内に餅が留まっているサインである可能性があるため見逃せません。

すぐに動物病院を受診すべきケース

猫が激しく咳き込んだり、チアノーゼ(舌が青白くなる)を起こしたり、苦しそうな声を上げている場合は、一刻を争う緊急事態です。

窒息の危険があるため、迷わずすぐに夜間救急を含む動物病院を受診してください。受診時は「いつ、どのくらいの量を食べたか」を伝えられるようにします。

餅を使った料理にも注意

きなことあんこを使った2個の餅

餅そのものだけでなく、餅を使った料理や加工品にも猫が中毒を起こす成分が隠れているため、十分な警戒が必要です。

お雑煮には、餅の粘りが溶け出しているだけでなく、ネギ類(タマネギや長ネギ)のエキスが溶け込んでいる場合があり、中毒の危険も加わります。

また、きなこ餅やあんこ餅は、猫にとって過剰な糖分や塩分で味が調えられており、膵臓や腎臓、心臓への負担となります。

大福などの和菓子は、餅部分の粘着力に加え、中の餡に含まれる砂糖や、製品によっては保存料が猫の健康を害する要因となります。

まとめ

飼い主に抱っこされている猫

人間用の餅は、猫にとって物理的な窒息リスクと、消化器官への大きな負担を併せ持つ「与えてはいけない食品」の代表格です。

「少しだけなら」という油断が、愛猫の命を脅かす重大な事故に直結します。日本で親しまれている行事食であっても、猫には猫用の安全なトリーツを用意しましょう。

万が一の誤食に備え、普段から近隣の動物病院の連絡先を把握しておくなど、飼い主として責任あるリスク管理を心がけてください。