ローシェンの特徴

ライオンクリップを施したローシェンの立ち姿

ローシェンは、フランス語(Petit chien lion)やドイツ語(Löwchen)で「小さなライオン犬」を意味する名前を持つ、非常に希少で高貴な小型犬です。

その名の通り、伝統的な「ライオンクリップ」を施した姿は、百獣の王をミニチュアにしたような凛々しさと、愛くるしさを兼ね備えています。

見た目はトイ・プードルやマルチーズのように華やかですが、その内面は非常に聡明で活発です。

リッチな飾り毛に包まれた体つきは意外にもがっしりとしており、家族に対して深い愛情を注ぐ「コンパニオンドッグ(伴侶犬)」としての理想的な雰囲気をまとっています。

ローシェンの大きさ

ローシェンの成犬時の体高は、およそ25cmから32cm程度が標準的です。体重は4kgから8kgほどで、トイ・プードルよりは一回り大きく、柴犬よりはかなり小さい、抱っこしやすいサイズ感です。

オスとメスの体格差はそれほど顕著ではありませんが、一般的にオスの方が骨格がしっかりする傾向にあります。

子犬期はぬいぐるみのようにコロコロとしていますが、1歳を過ぎる頃には骨格が定まり、筋肉質でバランスの取れた成犬へと成長します。

室内で暮らす際も、日本のマンションなどの住環境に馴染みやすいサイズです。ケージの設置場所にも困ることが少なく、都市部での生活において非常に飼育しやすいボリューム感といえるでしょう。

ローシェンの被毛タイプ

ローシェンの被毛は、シルクのように柔らかく長いシングルコート(下毛がない一層構造)が特徴です。

シングルコートのため、トイ・プードルと同様に抜け毛が非常に少なく、室内や衣服が毛だらけになる心配がほとんどありません。一方で、毛が細いため毛玉になりやすく、定期的なブラッシングは欠かせません。

特に話題となる「ライオンクリップ」は、体の後半分を短く刈り込み、足首や尾の先端、首周りに飾り毛を残す伝統的なスタイルで、これがローシェンの象徴となっています。このカットを美しく維持するためには、1ヶ月から1.5ヶ月に一度のプロによるトリミングが必要です。

ショードッグのような完璧な姿を保つには手間がかかりますが、家庭では全身を短くする「サマーカット」などで手入れの負担を軽減することも可能です。

ローシェンの毛色の種類

ローシェンの魅力の一つは、認められている毛色のバリエーションが非常に豊富な点にあります。ブラック、ホワイト、クリーム、チョコレート、グレーといった単色のほか、これらが混ざり合ったパーティーカラーなども存在します。

個体によっては、成長とともに毛の色が変化する「退色」が見られることもあり、子犬の頃とは違った風合いを楽しめるのも特徴です。

同じ親から生まれても模様の出方が異なるため、世界に一頭だけの個性的な外見を持つ個体に出会いやすい犬種といえます。

ローシェンの性格

正面に向かって駆け寄るローシェン

ローシェンは非常に賢く、人懐っこい性格をしています。家族と一緒に過ごすことを何よりの喜びと感じるため、初めて犬を飼う初心者の方でも、コミュニケーションが取りやすくしつけが入りやすい犬種です。

社交性が高く、他の犬や小さな子供に対しても優しく接することができるため、多頭飼いや子供のいる家庭にも向いています。

一方で、寂しがり屋な一面があるため、長時間の留守番が続く環境よりも、誰かが家にいる時間が多い家庭の方がストレスなく過ごせます。

無駄吠えについては、賢さゆえに「警戒」として吠えることはありますが、一貫したトレーニングを行えばコントロールは可能です。活発でありながら落ち着きも持ち合わせているため、都会のマンション生活でも理想的なパートナーになるでしょう。

ローシェンの歴史

2頭並んで座っているローシェン

ローシェンの起源は古く、15世紀頃のヨーロッパ、特にフランスやドイツ周辺で誕生したと考えられています。当時から貴族の女性たちの「湯たんぽ代わり」や「愛玩犬」として、宮廷内で大切に育てられてきた歴史があります。

「リトル・ライオン・ドッグ」という呼び名は、単に見た目がライオンに似ているからだけではありません。中世の騎士たちは、その勇敢さと忠誠心を象徴するライオンの姿を犬に投影し、獅子犬の像を一緒に埋葬したとも言われています。

一時は「世界で最も希少な犬」としてギネス記録に載るほど数が減少しましたが、愛好家の努力により絶滅を免れました。現在も日本での登録頭数は非常に少なく、ドッグショー以外で見かけることは稀な、まさに知る人ぞ知る高貴な犬種です。

ローシェンの価格相場

毛色の異なる2頭のローシェンの子犬

ローシェンの子犬の価格相場は、一般的に40万円から70万円前後となることが多いですが、個体によってはそれ以上になる場合もあります。

この価格の幅は、血統の良さや毛色の美しさ、そして何より国内での流通量が極めて少ないという「希少性」が大きく影響しています。

一般的なペットショップで見かけることはほとんどなく、多くは専門のブリーダーから直接迎える形となります。海外からの輸入を検討する場合は、輸送費や検疫費用が加算されるため、さらに高額な予算が必要になることも理解しておかなければなりません。

ローシェンのブリーダーを探す方法

国内でローシェンを迎えるためには、まず日本国内の数少ない専門ブリーダーを根気強く探すことが第一歩です。ジャパンケネルクラブ(JKC)の登録情報を確認したり、犬種専門のコミュニティを通じて情報を収集したりするのが効率的です。

見学時に、親犬の健康状態や性格はもちろん、飼育環境が清潔に保たれているかを必ず確認してください。希少犬種だからこそ、ブリーダーがその犬種の特性や遺伝性疾患について、丁寧かつ専門的に説明してくれるかどうかが信頼の指標となります。

もし国内で子犬の出会いがない場合は、保護犬の譲渡や里親制度をチェックする選択肢もありますが、ローシェンのような希少種が出るケースは稀です。出会いには時間がかかることを覚悟し、余裕を持って探す姿勢が大切です。

ローシェンの飼い方

土の上を歩いているローシェン

ローシェンとの生活を豊かにするためには、彼らの高い知能と運動欲求を満たしてあげることが重要です。

室内は滑り止めのマットを敷くなど、小型犬特有の関節トラブルを予防する環境づくりを心がけましょう。

食事管理においては、食欲旺盛な個体が多いため、体重管理には注意が必要です。「小さなライオン」としての筋肉質な体型を維持できるよう、良質なタンパク質が豊富でバランスの良い食事を与え、おやつの与えすぎに気をつけましょう。

ローシェンの運動量

ローシェンは活発な犬種ですので、1日2回、各20分から30分程度の散歩が目安となります。歩くことが好きな傾向があるため、外の刺激を受けることでストレス解消につながります。

室内では、知育玩具を使った遊びや、飼い主との引っ張りっこ遊びなどを取り入れるのが効果的です。

運動不足になると、家具を噛んだり無駄吠えが増えたりといった問題行動の原因になるため、毎日の発散を欠かさないようにしましょう。

ローシェンのしつけ方

しつけの基本は、社会化期のトレーニングです。子犬の頃から多くの人や他の犬、生活音に慣れさせることで、持ち前の社交性を最大限に引き出すことができます。

非常に賢いため、お座りやお手といった基本指示はすぐに覚えますが、退屈すると指示を無視することもあります。おやつや褒め言葉を効果的に使い、遊び感覚で楽しくトレーニングを進めるのがコツです。

飛びつきや甘噛みに対しては、無視をするなどの「一貫した態度」で根気強く教え込みましょう。

ローシェンのケア方法

最も重要なケアは、毎日のブラッシングです。細い被毛は絡まりやすく、一度大きな毛玉になると皮膚炎の原因にもなるため、スリッカーブラシ(くの字型で細長い針金のピンが並んだブラシ)やコームを使って優しく整えてあげましょう。

ライオンクリップを維持する場合は、定期的(1ヶ月半に1回程度)なトリミングサロンでのカットが必須となります。

これに加えて、汚れ具合に応じた週に1回程度の耳掃除や、毎日の歯磨きを習慣化することで、美容と健康の両面をサポートできます。特に垂れ耳の個体は外耳炎になりやすいため、耳の中の汚れや臭いには細心の注意を払いましょう。

ローシェンの寿命と病気

原っぱで正面を見つめながら座るローシェン

ローシェンの平均寿命は13歳から15歳程度と言われており、小型犬としては一般的な長さです。

長生きのためには、適切な体重管理と、心臓や関節への負担を減らす生活習慣が欠かせません。また、定期的な健康診断を年に1回(シニア期は2回)受けることで、病気の早期発見につなげることができます。

日頃からスキンシップを通じて、体に異常なしこりがないか、歩き方に違和感がないかを確認する習慣を持ちましょう。

ローシェンのかかりやすい病気

ローシェンを飼育する上で、特に注意しておきたい疾患がいくつかあります。これらは遺伝的な要因や小型犬特有の体質によるものが多いため、初期症状を知っておくことが重要です。

膝蓋骨脱臼(パテラ)

膝のお皿が正常な位置からずれてしまう病気です。スキップのような歩き方をしたり、足を地面につくのを嫌がったりするのがサインです。

フローリングに滑り止めを施し、ジャンプを控えることで予防と管理が可能です。

進行性網膜萎縮症(PRA)

網膜が徐々に萎縮し、視力が低下していく遺伝性の眼疾患です。暗い場所で物によくぶつかるようになる、段差を怖がるといった変化に注意してください。

早期に発見し、サプリメントや環境整備で生活の質を保つことが求められます。

外耳炎

垂れ耳で耳の中の通気性が悪いため、細菌や真菌が増殖しやすい傾向があります。耳を頻繁に振る、足で耳を掻く、耳垢に強い臭いがある場合は受診の目安です。

定期的な耳掃除と、シャンプー後の丁寧な乾燥が予防の鍵となります。

まとめ

芝生の上で横向きに立つローシェン

ローシェンは、その気品あふれる外見と、明るく忠実な性格で、家族に大きな喜びをもたらしてくれる犬種です。抜け毛が少なく室内で飼いやすい一方で、美しいライオンカットを維持するための手間やコストを楽しむ余裕がある方に向いています。

また、人とのコミュニケーションを強く求める性質があるため、愛犬と一緒にアクティブに過ごしたい方や、在宅時間が長くたっぷりと愛情を注げる飼い主さんにとって、これ以上ないパートナーとなるでしょう。

希少な存在だからこそ、その歴史と個性を深く理解し、生涯を共に歩む覚悟を持つ方にぜひ迎えていただきたい一頭です。

あなたのライフスタイルにローシェンが合うかどうか、まずは信頼できるブリーダーに相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。