
犬に鱈(タラ)を与えても問題ありません。味付けを一切せず、しっかりと加熱した「身」の部分であれば、愛犬の健康をサポートする優れた食材になります。
ただし、一般的に「タラ」として売られているものには種類があるため注意が必要です。犬に与える際は、低脂質な「真鱈(マダラ)」を選ぶのが基本です。
一方で「銀鱈(ギンダラ)」は、名前にタラと付いていますが、実はタラ科ではなくカサゴ目ギンダラ科の魚であり、真鱈に比べて非常に脂質が多い魚です。
また、銀鱈は「西京漬け」や「味醂干し」といった味付きの加工品として販売されることが多く、犬には塩分や糖分が多すぎるため避けるべきです。
さらに、人間用の「チーズ鱈」や「干し鱈(塩抜きしていないもの)」などの加工品も、添加物や塩分の観点から基本的には与えないようにしましょう。

鱈は非常に脂肪分が少なく、消化吸収に優れた良質なタンパク質を豊富に含んでいます。タンパク質は、犬の筋肉や皮膚、被毛の健康を維持するために欠かせない栄養素です。
特に運動量が落ちてきた犬にとっても、肥満を抑えつつ筋肉量を維持するのに最適な食材といえます。
鱈には、赤血球の形成を助けるビタミンB12や、カルシウムの吸収を促進し骨を丈夫にするビタミンDが含まれています。これらは健康な体を維持する上で重要な役割を果たします。
しかし、ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、過剰に摂取し続けると体に蓄積される性質があります。栄養バランスが整った総合栄養食を食べている場合は、あくまで補助的な「おやつ」として考えましょう。
鱈には細胞の浸透圧を調整するカリウムや、骨や歯の構成成分となるリンが含まれています。これらは健康な犬にとっては必須のミネラルです。
ただし、腎不全などの腎臓疾患を抱えている犬の場合、カリウムやリンの排出がうまくできず、体に負担をかける恐れがあります。食事制限がある場合は、必ず事前に獣医師に相談してください。

犬に与える際は、スーパーで「真鱈」と表記されているものを選んでください。銀鱈は脂質が非常に高く、消化器官がデリケートな犬では下痢や嘔吐の原因になることがあるため、基本的には避けましょう。
生の状態ではアニサキスなどの寄生虫のリスクや、チアミナーゼ(ビタミンB1を壊す酵素)の問題があるため、必ず中心部まで火を通してください。「茹でる」または「蒸す」が最もヘルシーな調理法です。
調理の際、塩や出汁、醤油などの調味料は一切使わないでください。ただし、鱈を茹でた際の「茹で汁」には魚の旨味が溶け出しているため、食欲がない時のトッピングとして少量活用するのは効果的です。
鱈には鋭い小骨が多いため、加熱後に指先で確認しながら徹底的に取り除いてください。骨が喉や内臓に刺さると大変危険です。皮は弾力があり、喉に張り付く恐れがあるため、取り除くのが安心です。
柴犬のような中型犬でも、大きな塊のまま飲み込むと喉に詰まらせることがあります。加熱した身は細かくほぐし、いつものドッグフードに和えやすいサイズにしてから与えるようにしましょう。
鱈の白子は非常に栄養価が高い一方で、コレステロールやプリン体も多く含まれています。健康な犬に一口程度なら問題ありませんが、肥満気味の犬や尿路結石の既往歴がある犬には与えないのが賢明です。
冷凍の鱈を使用する場合は、冷蔵庫でゆっくり解凍してから調理します。一度加熱した鱈を小分けにして冷凍保存しておくと便利ですが、酸化を防ぐため1週間程度で使い切るようにしてください。
鱈を初めてごはんに混ぜる際は、いつものフードを1割程度減らし、その分だけ鱈を加えるようにします。急に食事内容を大きく変えると警戒して食べないこともあるため、香りが立つ温かい状態で混ぜるのがコツです。

鱈はあくまで「副食(おやつ・トッピング)」として与えます。1日の総摂取カロリーの10%〜20%以内に収めるのがルールです。以下の表は、体重別の1日あたりの目安量(身の部分のみ)です。
| 犬のサイズ(体重) | 1日の摂取目安(加熱後) | 犬種の例 |
|---|---|---|
| 超小型犬(2〜3kg) | 約10〜15g程度 | チワワ、ヨークシャーテリア |
| 小型犬(5kg前後) | 約20〜30g程度 | トイ・プードル、ミニチュアダックス |
| 中型犬(10kg〜15kg) | 約40〜60g程度 | 柴犬、コーギー |
| 大型犬(20kg以上) | 約80g〜 | ゴールデン・レトリバー、ラブラドール |
子犬や老犬に与える場合は、消化能力が未発達、または低下しているため、上記の目安よりもさらに少なめからスタートしてください。また、頻度は毎日ではなく「たまにのご褒美」程度にするのが理想的です。
腎不全などで療法食を食べている犬の場合、自己判断での追加は病状を悪化させるリスクがあります。必ず管理栄養士や獣医師の指示を優先してください。

人間用の「チーズ鱈」は塩分と脂質が非常に高く、保存料などの添加物も含まれています。また「塩鱈」は保存のために大量の塩が使われており、犬が摂取すると塩分過多による中毒や心臓への負担を招きます。
鱈を初めて食べる際は、ごく少量(ティースプーン1杯程度)を与えて24時間は様子を見てください。目の充血、体の痒み、下痢、嘔吐などの症状が出た場合は、鱈アレルギーの可能性があるため速やかに受診しましょう。
前述の通り、腎臓病や心臓病の犬はミネラルの摂取制限が必要です。また、尿路結石の既往がある場合も、鱈に含まれる成分が影響を与える可能性があるため、慎重な判断が求められます。
銀鱈の過剰な脂質は膵炎のリスクを高めることがあります。また、人間用の味噌漬けや粕漬けは、塩分だけでなくアルコール成分が含まれていることもあるため、絶対に与えてはいけません。
低脂質でヘルシーな鱈ですが、一度に大量に食べると消化が追いつかず、胃腸トラブルの原因になります。特に早食いの癖がある犬は、丸飲みによる窒息や嘔吐にも注意が必要です。

材料:真鱈(1切れ)、水(適量)
作り方:鍋に水を入れて沸騰させ、真鱈を中までしっかり茹でます。火が通ったら取り出し、骨と皮を丁寧に取り除いて細かくほぐします。
与える目安:いつものドッグフードに、大さじ1〜2杯程度をふりかけてください。まずは少量から試し、食いつきや便の状態を確認しましょう。
材料:真鱈(1/2切れ)、白菜(少々)、にんじん(少々)、水(150ml)
作り方:野菜を犬が食べやすいみじん切りにし、鱈と一緒に水から煮込みます。具材が柔らかくなったら鱈を取り出し、骨を除いて身を戻します。
与える目安:スープとしてそのまま与えるか、フードをふやかすのに使います。水分補給が必要な夏場や、水をあまり飲まない犬にもおすすめです。
材料:真鱈(1/2切れ)、炊いたごはん(大さじ1)、小松菜(少々)、水(100ml)
作り方:鍋に水とごはん、細かく刻んだ小松菜を入れて煮ます。途中で真鱈を加え、しっかり火が通ったら鱈をほぐして骨を除き、全体を混ぜ合わせます。
与える目安:主食の置き換えではなく、トッピングやおやつとして小皿に分けて与えてください。人肌程度に冷ましてから出すのがポイントです。

鱈は、正しく調理すれば犬にとって「高タンパク・低脂質」な健康食材になります。与える際は「真鱈」を選び、味付けなしで加熱し、骨と皮を完全に取り除くことを徹底してください。
一方で、塩分の多い加工品や、脂質の高い銀鱈には注意が必要です。愛犬の体重や健康状態に合わせて量を確認し、まずは少量から楽しむ「特別なおやつ」として活用してみてください。
もし鱈を食べて体調に変化が見られた場合は、すぐに与えるのを中止して動物病院へ相談しましょう。正しい知識を持って、愛犬の食生活をより豊かなものにしてあげてください。