柴犬は比較的丈夫なイメージを持たれることがありますが、アトピー性皮膚炎や緑内障など、特に注意したい病気があります。
また、皮膚のかゆみや目の異常、歩き方の変化など、日常生活で気づける病気のサインも少なくありません。
この記事では、柴犬がかかりやすい病気と主な症状、動物病院を受診する目安、病気の早期発見につながる健康管理について解説します。

柴犬はあらゆる病気に強い犬種ではなく、特にアトピー性皮膚炎や緑内障などの健康問題に注意が必要です。
アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2025」では、柴犬は犬全体と比較して、これらの病気に関する保険請求割合が高いことが報告されています。
同資料では、0〜12歳の柴犬58,364頭を対象とした分析で、アトピー性皮膚炎の請求割合は柴犬6.7%、犬全体2.4%でした。
また、緑内障は柴犬0.7%、犬全体0.2%となっており、柴犬で特に注意したい眼科疾患のひとつです。
ただし、これらは特定のペット保険に加入している犬の請求データです。日本で飼育されている柴犬全体の発症率を示すものではなく、すべての柴犬が同じ確率で発症するわけでもありません。
さらに、2011年に「Journal of Veterinary Medical Science」で発表された国内研究では、柴犬と慢性腸症の関連が報告されています。
慢性腸症は、下痢や嘔吐などの消化器症状が長期間続いたり、繰り返されたりする病気の総称です。ただし、この研究も限られた診療症例を対象としており、一般的な柴犬の発症率を示すものではありません。
そのほか、食物アレルギー、外耳炎、白内障、関節疾患なども健康管理のうえで知っておきたい病気です。ただし、すべてが柴犬に特に多いと確認されているわけではありません。
大切なのは、犬種との関連が明らかな病気を理解するとともに、日頃から愛犬の体調や行動の変化に目を向けることです。

柴犬の健康管理では、皮膚の病気に特に注意が必要です。なかでもアトピー性皮膚炎は、国内の保険統計でも柴犬との関連が確認されています。
皮膚を繰り返しかく、足先をなめる、赤みや脱毛が見られるといった変化は、皮膚トラブルに気づくきっかけになります。
また、皮膚の炎症に関連して耳のトラブルが起こることもあるため、体だけでなく耳の状態も確認しましょう。
犬アトピー性皮膚炎は、遺伝的な素因や環境中のアレルゲンなどが関係し、皮膚のかゆみや炎症を繰り返す病気です。アレルゲンとは、アレルギー反応を引き起こす原因物質を指します。
柴犬は、日本国内で犬アトピー性皮膚炎の好発犬種として知られています。症状は顔や耳、足先、脇の下、お腹などに現れやすく、皮膚をかく、なめる、かじるといった行動が見られます。
炎症が続くと、皮膚の赤みや脱毛、色素沈着などが起こることもあります。また、細菌やマラセチアという酵母菌が増殖し、皮膚炎を悪化させる場合もあります。
ただし、皮膚のかゆみは食物アレルギー、寄生虫、感染症などでも起こります。そのため、診断では症状の経過や発症部位を確認し、ほかの皮膚疾患を除外することが重要です。
治療では、かゆみや炎症を抑える薬、薬用シャンプーによるスキンケア、必要に応じたアレルゲン免疫療法などが検討されます。
慢性的に経過することが多いため、一時的に症状が改善しても、皮膚の状態を確認しながら継続的に管理することが大切です。
食物アレルギーは、食事に含まれる特定の成分に対して免疫が過剰に反応することで、皮膚や消化器などに症状が現れる病気です。
犬では、顔や耳、足先などのかゆみ、皮膚の赤み、外耳炎などが見られます。また、下痢や嘔吐といった消化器症状を伴う場合もあります。
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は症状が似ており、両方が関係していることもあります。しかし、かゆみの部位だけで原因を判断することはできません。
診断では、原因として疑われる食材を避けた食事を一定期間与える「除去食試験」が重要です。その後、原因と考えられる食物を再び与えて症状の変化を確認する「食物負荷試験」を行うことがあります。
血液検査だけで食物アレルギーを確定診断することはできません。また、自己判断で食材を次々と除去すると、栄養バランスが崩れたり、診断が難しくなったりするおそれがあります。
疑わしい場合は獣医師と相談し、適切な療法食を使って原因を調べることが大切です。
外耳炎は、耳の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる病気です。柴犬にも見られますが、柴犬がほかの犬種より特に発症しやすいと断定できるものではありません。
耳を頻繁にかく、頭を振る、耳を床や家具にこすりつけるといった行動が代表的なサインです。耳の赤みや腫れ、耳垢の増加、嫌なにおいが見られることもあります。
外耳炎には、アレルギー性皮膚疾患、耳ダニなどの寄生虫、異物などが関係します。また、細菌やマラセチアの増殖によって炎症が悪化することもあります。
動物病院では耳の内部を観察し、必要に応じて耳垢の顕微鏡検査などを行います。治療には耳の洗浄や点耳薬などが使われ、原因となる病気への対応も重要です。
家庭では耳の入り口や見える範囲を確認し、汚れやにおいの変化に気づくことが大切です。綿棒を耳の奥まで入れたり、痛がる耳を無理に掃除したりすることは避けましょう。

柴犬で特に注意したい目の病気には、緑内障があります。また、白内障も視覚に影響する病気として知っておきたい疾患です。
どちらも目の見え方に関係しますが、病気が起こる仕組みや緊急性は異なります。
特に緑内障は、急激に視力が低下することがあるため、目の痛みや突然の視覚異常に気づいた場合は速やかな受診が必要です。
緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経や網膜の機能が障害され、視力低下や失明につながる病気です。眼圧とは、眼球の内部にかかる圧力を指します。
柴犬は緑内障との関連が確認されている犬種のひとつで、国内の保険統計でも犬全体より請求割合が高くなっています。
主な症状には、白目の充血、目を細める、まぶしそうにする、目を痛がる、角膜が白っぽく濁る、物にぶつかるなどがあります。
急激に眼圧が上昇すると、強い痛みや視覚障害が起こり、短時間で回復が難しい状態に進行することもあります。
診断では眼圧測定や眼科検査を行い、目の内部の状態や視覚への影響を確認します。治療には眼圧を下げる点眼薬や内服薬、外科手術などが用いられます。
治療によって眼圧をコントロールできる場合もありますが、失われた視力を回復できないこともあります。
急な充血や強い眼痛、突然物にぶつかるようになった場合は、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。
白内障は、目の中でレンズの役割を果たす水晶体が白く濁る病気です。進行すると光が網膜に届きにくくなり、視力低下や失明につながることがあります。
白内障の原因には、加齢、遺伝的な要因、糖尿病、目の外傷や炎症などがあります。柴犬でも発症しますが、柴犬に特に多いと断定できる病気ではありません。
症状として、目の奥が白っぽく見える、暗い場所で動きにくくなる、段差を怖がる、家具にぶつかるなどの変化が見られる場合があります。
ただし、高齢犬では「核硬化症」という加齢による水晶体の変化でも、目が青白く見えることがあります。核硬化症は通常、白内障とは異なり、視力への影響が小さい変化です。
そのため、目が白いという見た目だけで白内障と判断することはできません。
診断では、眼科検査で水晶体の状態を確認します。白く濁った水晶体を取り除き、視力の改善を目指す治療は外科手術ですが、すべての犬に手術が適しているわけではありません。
症状の程度や全身状態、合併症の有無などを踏まえて治療方針を決定します。

柴犬でも、膝蓋骨脱臼や股関節形成不全などの関節疾患が起こることがあります。ただし、これらをすべて柴犬特有の好発疾患として扱うことはできません。
関節に異常があると、足をかばう、歩き方が変わる、運動を嫌がるといった変化が見られることがあります。
症状が軽い場合は普段どおりに歩くこともあるため、日常の動きを観察することが大切です。
膝蓋骨脱臼は、後ろ足の膝にある膝蓋骨、いわゆる膝のお皿が正常な位置から外れる病気です。一般的に「パテラ」とも呼ばれています。
トイ・プードルやチワワ、ポメラニアンなどの小型犬でよく知られていますが、柴犬でも発症することがあります。
代表的な症状は、歩いている途中で突然片方の後ろ足を上げる、数歩だけ跳ねるように歩く、足をかばうといった変化です。
軽度では症状がほとんど現れない場合もありますが、重度になると足の変形や持続的な歩行異常、関節炎などにつながることがあります。
診断では膝関節の触診やレントゲン検査などを行い、脱臼の程度や骨の状態を確認します。
症状が軽い場合には、体重管理や生活環境の改善、必要に応じた投薬などで経過をみることがあります。一方、痛みや歩行障害が強い場合、骨の変形が進んでいる場合などには手術が検討されます。
すべての膝蓋骨脱臼で手術が必要になるわけではなく、重症度と症状に応じた対応が重要です。
股関節形成不全は、骨盤と太ももの骨をつなぐ股関節が正常に形成されず、関節が不安定になる病気です。
ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーなどの大型犬でよく知られていますが、柴犬を含む中型犬でも起こることがあります。
遺伝的な要因が大きく関係し、成長期の体重や運動による負荷なども症状に影響する場合があります。
主な症状は、腰を左右に振るように歩く、走るときに両後ろ足をそろえて跳ねる、立ち上がりにくい、階段やジャンプを嫌がるといった変化です。
ただし、関節の異常があっても目立った症状が見られない場合もあり、歩き方だけで判断することはできません。診断では、歩行の観察や触診、レントゲン検査などを行います。
治療には体重管理、運動内容の調整、痛みを抑える薬、リハビリテーション、必要に応じた手術などがあります。
関節への負担を軽減するため、肥満を避け、滑りにくい床を整えることも大切です。

柴犬では、皮膚や目、関節以外にも注意したい病気があります。
慢性腸症については国内研究で柴犬との関連が報告されていますが、認知機能不全症候群や甲状腺機能低下症については、柴犬に特に多いと断定できるわけではありません。
それぞれの特徴を理解し、消化器症状や行動、全身状態の変化に気づけるようにしておきましょう。
慢性腸症は、下痢や嘔吐などの消化器症状が長期間続いたり、繰り返されたりする病気の総称です。食事への反応や腸の炎症など、さまざまな要因が関係します。
2011年にOhmiらが発表した国内研究では、慢性腸症と診断された99頭のうち21頭が柴犬で、犬種との関連が報告されました。
ただし、この研究は限られた診療症例を対象としたものであり、柴犬全体の発症率や一般的な予後を示すものではありません。
主な症状には、慢性的な下痢、軟便、嘔吐、食欲低下、体重減少などがあります。症状が一時的に改善しても、再び悪化する場合があります。
診断では、便検査、血液検査、腹部超音波検査などを通じて、寄生虫感染や消化管以外の病気などを調べます。必要に応じて内視鏡検査や腸の組織検査が行われることもあります。
治療は原因や病態によって異なり、療法食による食事管理を中心に、必要に応じて薬物療法などを組み合わせます。
なお、下痢や嘔吐は急性胃腸炎や誤飲などでも起こります。一度下痢をしただけで慢性腸症と判断せず、症状の経過や全身状態を確認することが重要です。
認知機能不全症候群は、加齢に伴って脳の働きが低下し、行動や生活リズムに変化が現れる状態です。一般的には犬の認知症とも呼ばれます。
主な症状には、昼夜逆転、夜鳴き、目的なく歩き回る徘徊、トイレの失敗、家の中で迷うといった行動があります。
これまでできていたことが難しくなったり、飼い主への反応が変わったりする場合もあります。
高齢の柴犬でも見られる病気ですが、柴犬だけで発症率が突出して高いと断定できる十分な根拠はありません。
また、夜鳴きや徘徊は、関節の痛み、視力や聴力の低下、神経疾患などによっても起こります。診断では、こうした病気の可能性を調べることが重要です。
管理では、生活リズムを整える、家具の配置を大きく変えない、滑りにくい床にするなど、安心して過ごせる環境を整えます。
必要に応じて食事や薬物療法なども検討されるため、年齢のせいと決めつけず、行動の変化を動物病院で相談しましょう。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が不足し、体の代謝機能が低下する病気です。中高齢の犬で診断されることが多く、柴犬でも発症する場合があります。
主な症状としては、元気がなくなる、運動を嫌がる、食事量が変わらないのに体重が増える、寒がる、脱毛するなどが見られます。
被毛が薄くなる、毛づやが悪くなる、皮膚に色素沈着が起こるといった変化が現れることもあります。
ただし、これらの症状はほかの病気でも見られるため、症状だけで甲状腺機能低下症と判断することはできません。
診断では血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べ、必要に応じて甲状腺刺激ホルモン(TSH)なども測定します。ほかの病気や薬の影響でもホルモン値が低下するため、検査結果は総合的に判断します。
治療では、不足している甲状腺ホルモンを薬で補充し、定期的な血液検査で投薬量を調整します。
適切に管理すれば症状の改善が期待できますが、長期的な治療と経過観察が必要になることが一般的です。

柴犬の病気を早期に発見するためには、普段と異なる症状や行動に気づくことが重要です。
ただし、同じ症状でも原因はさまざまで、見た目だけで病名を判断することはできません。
症状がいつから続いているか、悪化していないか、ほかの異常を伴っていないかを確認し、動物病院への相談に役立てましょう。
柴犬はダブルコートと呼ばれる二重構造の被毛を持ち、一年を通して毛が抜ける犬種です。特に春と秋の換毛期には、下毛が大量に抜けることがあります。
そのため、抜け毛が増えたからといって、必ずしも病気とは限りません。
一方、特定の部分だけ毛が抜ける、皮膚が赤くなる、強いかゆみが続く、かさぶたや湿疹が見られる場合は、皮膚疾患の可能性があります。
体を頻繁になめる、かく、かじるといった行動が増えていないかも確認しましょう。
皮膚の異常が続く場合や、かき壊して出血している場合には、動物病院で原因を調べてもらうことが大切です。
柴犬が震えている場合、寒さや恐怖、興奮などによる一時的な反応のこともあります。
しかし、痛みや発熱などの体調不良、神経の異常、中毒などが関係している場合もあるため、震えだけで原因を判断することはできません。
特に注意したいのは、ふらつく、まっすぐ歩けない、立ち上がれない、意識や反応が普段と違うといった症状を伴う場合です。
また、しっぽが突然下がった状態になった場合も、恐怖だけでなく、痛みや体調不良が関係している可能性があります。
震えが続く場合や、歩行・意識状態に異常がある場合は受診が必要です。突然立てなくなったり、意識が低下したりしている場合は、速やかに獣医療を受けてください。
柴犬の元気や食欲が低下した場合は、普段の活動量や食事量と比較して、どの程度変化しているかを確認しましょう。
食事を残す、散歩を嫌がる、寝ている時間が増えるといった変化は、さまざまな病気や体調不良で見られます。
下痢をしている場合には、便の回数や硬さ、血液の混入、嘔吐の有無なども重要な観察点です。
軽い消化器症状が一時的に現れることもありますが、下痢や嘔吐を繰り返す、食欲低下が続く、体重が減るといった場合には、原因を調べる必要があります。
特に、ぐったりしている、何度も吐く、血便が出る、水分を取れないといった場合は、重い病気や脱水につながる可能性があるため、早急に受診しましょう。
犬は運動後や暑いときに、口を開けて速く呼吸する「パンティング」を行います。これは体温を調節するための正常な反応です。
ただし、安静にしていても呼吸が荒い、胸やお腹を大きく動かして息をする、呼吸時に異常な音がするといった場合には注意が必要です。
また、呼吸が苦しそうで横になれない、舌や歯ぐきの色が青紫色になる、意識が低下するといった状態は緊急性が高い症状です。
呼吸困難には心臓や肺の病気、熱中症など、さまざまな原因が考えられます。呼吸が苦しそうな場合は、無理に歩かせたり、水や食べ物を飲ませたりせず、速やかに動物病院へ連絡してください。

柴犬に気になる症状が現れた場合は、症状の強さだけでなく、急に起こったか、悪化しているか、全身状態に異常がないかを確認することが大切です。
特に、急激な視覚異常や強い眼痛、明らかな呼吸困難、意識障害、突然立てなくなる状態、持続するけいれんなどは、緊急性の高い症状です。
柴犬は緑内障との関連が知られているため、突然目が充血する、目を強く痛がる、急に物にぶつかるようになるといった変化を軽視してはいけません。
また、激しい嘔吐や下痢に加えてぐったりしている場合、吐血や血便が見られる場合なども、早急な診察が必要になることがあります。
こうした状態では、夜間や休診日であっても、対応可能な救急動物病院への連絡を検討してください。
一方、皮膚のかゆみや軽い歩行異常、食欲の低下などは、緊急性が高くない場合もあります。ただし、症状が続く、繰り返す、悪化する場合には、早めに動物病院で相談しましょう。
特に子犬や高齢犬、持病のある犬では、体調の悪化が早く進む場合もあるため注意が必要です。
受診時には、症状が始まった時期、食欲や排泄の状態、普段と異なる行動などを伝えると診察に役立ちます。
歩き方や震え、呼吸の変化などは、安全に撮影できる状況であれば動画に残しておくことも有用です。
ただし、症状によって安全に様子を見られる時間が一律に決まっているわけではありません。迷った場合は自己判断で待たず、動物病院に連絡して受診の必要性を確認しましょう。

柴犬で注意したい病気や健康管理の重点は、年齢によっても変わります。
子犬期は感染症や先天性・遺伝性疾患、成犬期は慢性的な皮膚疾患など、高齢期は認知機能の低下や腫瘍を含むさまざまな病気に注意が必要です。
子犬では免疫機能が十分に発達しておらず、感染症によって急激に体調が悪化する場合があります。ワクチン接種の状況を確認し、食欲不振、嘔吐、下痢、元気の低下などが見られた場合は早めに相談しましょう。
また、柴犬では「GM1ガングリオシドーシス」という遺伝性疾患が報告されています。
これは、特定の酵素が正常に働かず、細胞内に物質が蓄積することで神経機能が障害される病気です。子犬の成長に伴って運動機能などに異常が現れることがあります。
原因となる遺伝子変異は明らかになっており、遺伝子検査による確認が可能です。ただし、柴犬全体で高頻度に発症する病気というわけではありません。
成犬期には、皮膚のかゆみや外耳炎などの慢性的なトラブルに注意しましょう。繰り返す症状を単なる体質と考えず、原因を確認して継続的に管理することが大切です。
高齢期には、認知機能不全症候群、腫瘍、関節疾患、内臓の病気など、幅広い健康問題に注意が必要になります。
夜鳴きや徘徊、歩き方の変化、体重減少、飲水量の増加などは、加齢だけでなく病気が関係している場合もあります。
年齢を重ねるほど、日常的な健康観察に加えて、定期的な健康診断を通じて体の変化を確認することが重要です。

柴犬の健康を守るためには、日常的なケアと定期的な健康確認を続けることが大切です。
すべての病気を予防できるわけではありませんが、皮膚や被毛の状態、食欲、体重、排泄、行動などを普段から把握しておくことで、異常の早期発見につながります。
また、病気が見つかった後も、適切な管理を続けることで症状の悪化を抑えられる場合があります。
柴犬は抜け毛が多い犬種のため、定期的なブラッシングが必要です。特に換毛期は抜け毛が増えるため、皮膚の状態を確認しながら、こまめに手入れを行いましょう。
ブラッシングの際は、毛の量だけでなく、皮膚に赤みや湿疹、脱毛がないかを確認することも重要です。
シャンプーは皮膚の汚れや余分な皮脂を落とすために役立ちますが、洗いすぎや不適切な製品の使用は皮膚への刺激になる場合があります。
皮膚にトラブルがある場合は、獣医師に相談し、適したシャンプーや洗浄頻度を確認してください。
耳については、定期的に入り口付近を観察し、赤み、耳垢の増加、においなどの変化がないか確認しましょう。異常がなければ、頻繁な耳掃除が必要とは限りません。
また、歯周病予防のためには歯磨きも大切です。犬用歯ブラシなどを使用し、毎日の歯磨きを目標に、無理のない範囲で少しずつ慣らしていきましょう。
口臭が強くなった、歯ぐきが赤い、歯磨きを嫌がるようになった場合などは、口の中に異常がないか動物病院で確認してもらうことが大切です。
柴犬の健康管理では、年齢や体格、活動量に合った食事を与え、適正な体重と体形を維持することが重要です。
主食には、犬の成長段階に合った総合栄養食を選び、パッケージの給与量を参考にしながら体重や体形の変化に応じて調整しましょう。
肥満を防ぐためには、体重の数値だけでなく、ボディコンディションスコア(BCS)を確認する方法も役立ちます。
BCSとは、肋骨の触れやすさや腰のくびれなどから、脂肪のつき具合を評価する方法です。
柴犬は被毛が密生しているため、見た目だけでなく、体を優しく触って肋骨や腰回りの状態を確認するとよいでしょう。
また、散歩や遊びによって適度に体を動かすことも大切です。歩く運動に加えて、においを嗅ぎながら探索する時間や、室内での遊びなどを取り入れると、体と頭の両方を使う機会になります。
ただし、関節疾患がある犬や高齢犬では、過度な運動が負担になる場合があります。歩き方や疲れやすさを確認し、必要に応じて運動量や内容を調整しましょう。
柴犬の病気を早期に発見するためには、症状がないときでも定期的に健康診断を受けることが重要です。
健康診断では、体重や体形、皮膚、目、耳、口の中、心臓や呼吸の状態などを確認します。年齢や健康状態に応じて、血液検査、尿検査、画像検査などが検討されます。
特に高齢犬では、目立った症状がなくても内臓の異常などが進行している場合があります。
健康診断の頻度は年齢や持病によって異なりますが、健康な成犬では年1回程度をひとつの目安とし、高齢犬や持病のある犬では、より短い間隔での確認を検討します。
また、感染症を防ぐためのワクチン接種も大切です。日本では、犬の飼い主に年1回の狂犬病予防注射が法律で義務付けられています。
そのほかの混合ワクチンについては、生活環境や感染リスク、これまでの接種歴などを踏まえて、獣医師と接種内容や間隔を相談しましょう。
さらに、フィラリア症やノミ・マダニなどの寄生虫対策も重要です。散歩する場所や地域、季節、生活環境に応じて、適切な予防薬や投与期間を確認してください。
定期的な予防と健康診断を組み合わせることで、感染症のリスクを減らし、体調の変化にも早く気づきやすくなります。

柴犬の病気の治療費は、病気の種類や重症度、必要な検査・治療内容によって大きく異なります。
例えば、アトピー性皮膚炎では診察や皮膚検査、薬の処方、定期的な通院などの費用が発生します。長期的な管理が必要になる場合は、継続的な費用も考えておく必要があります。
一方、緑内障では眼圧測定や眼科検査、点眼薬による治療のほか、症状によっては入院や手術が必要になることがあります。
具体的な参考データとして、アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2025」では、柴犬の傷病名別年間診療費が公表されています。
同資料によると、アトピー性皮膚炎の年間診療費は平均74,300円、中央値48,229円でした。
緑内障では平均165,770円、中央値105,930円となっています。中央値とは、金額の低い順に並べたとき、中央に位置する値です。
ただし、これらは対象となった保険加入犬の請求データに基づく年間診療費であり、初診1回の費用や、全国の動物病院に共通する治療費相場ではありません。
また、検査のみで済む場合と、継続的な投薬や手術が必要になる場合とでは、実際の費用は大きく変わります。
治療を受ける際は、必要な検査や治療の選択肢、継続的に発生する費用などを動物病院で確認するとよいでしょう。
ペット保険は、病気やけがによる診療費の負担を軽減するための選択肢のひとつです。
ただし、補償される病気や治療内容、支払限度額、免責条件、加入前からある病気の取り扱いなどは契約によって異なります。
加入を検討する場合は、保険料だけでなく、補償内容や条件を確認し、将来的な通院や治療に備えることが大切です。

柴犬は比較的健康的なイメージを持たれることがありますが、あらゆる病気に強い犬種というわけではありません。
特にアトピー性皮膚炎や緑内障は、国内のペット保険統計で犬全体より請求割合が高く、注意したい病気です。また、慢性腸症についても、国内研究で柴犬との関連が報告されています。
一方、食物アレルギーや外耳炎、白内障、関節疾患などは、柴犬でも起こる病気ですが、すべてが柴犬特有の好発疾患ではありません。
病気の早期発見には、皮膚や目の状態、歩き方、食欲、排泄、行動など、普段の様子を把握しておくことが大切です。
特に急な視覚異常や呼吸困難、意識障害などが見られる場合は、速やかに動物病院を受診してください。
日常的なスキンケアや適切な食事・運動、定期的な健康診断を続け、気になる変化を早めに獣医師へ相談することが、柴犬の健康を守ることにつながります。