柴犬はアトピー性皮膚炎になりやすい

正面に体を向けて座っている柴犬

柴犬は、日本で犬アトピー性皮膚炎の好発犬種として知られています。犬アトピー性皮膚炎とは、遺伝的な素因や環境中のアレルゲンなどが関係し、皮膚のかゆみや炎症を繰り返す病気です。

1999年に「日本獣医師会雑誌」で発表された国内研究では、犬アトピー性皮膚炎と診断された60頭のうち、柴犬は14頭でした。一方、かゆみはあるもののアトピー性皮膚炎ではなかった53頭では、柴犬は3頭でした。

研究では、調査対象の犬種のうち、柴犬にアトピー性皮膚炎の好発傾向が認められたと報告されています。

ただし、この結果は動物病院を受診した犬の診療データに基づくもので、日本国内で飼育されている柴犬全体の発症率を示すものではありません。

また、柴犬がアトピー性皮膚炎になりやすい傾向があるからといって、食物アレルギーやノミアレルギーなど、すべてのアレルギー性疾患に特にかかりやすいとは限りません。

すべての柴犬が発症するわけではなく、症状の有無や重症度にも個体差があります。愛犬の皮膚に異常が見られた場合は、原因を決めつけずに確認することが大切です。

柴犬にみられるアレルギーの種類と原因

前足に聴診器を置いたまま足を舐めている柴犬

柴犬にみられる代表的なアレルギー性疾患には、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ノミアレルギー性皮膚炎があります。

いずれも皮膚のかゆみや炎症を引き起こしますが、発症に関係する要因や治療・管理の方法は異なります。また、複数の原因が同時に関係する場合もあります。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎は、皮膚のかゆみや炎症を慢性的に繰り返す病気です。環境中のハウスダストマイト(室内のチリダニ)や花粉などが、症状に関係する場合があります。

発症には遺伝的な素因、免疫反応、皮膚バリア機能、環境要因などが複雑に関係すると考えられています。

皮膚バリア機能とは、外部からの刺激や異物の侵入を防ぎ、皮膚の水分を保つ働きのことです。アトピー性皮膚炎では、この機能の異常が病態に関係する場合があります。

ただし、健康な柴犬の皮膚バリア機能が、生まれつきほかの犬種より弱いと断定できるわけではありません。

主な症状は、顔や耳、足先、お腹などのかゆみや赤みです。症状が長く続くと、皮膚が厚くなったり、黒ずんだりすることもあります。

アトピー性皮膚炎は、症状が落ち着いても再発することがあるため、継続的な管理が重要です。

食物アレルギー

食物アレルギーは、食べ物に含まれる特定の成分に対して免疫系が反応し、皮膚や消化器などに症状を引き起こす病気です。

原因となるのは主に食物中のタンパク質で、肉類や乳製品、穀物など、さまざまな食材が関係する可能性があります。

主な症状は皮膚のかゆみや赤みで、下痢や嘔吐、軟便などの消化器症状を伴う場合もあります。ただし、消化器症状が現れない犬もいます。

なお、食物アレルギーと食物不耐性は異なります。食物不耐性は、特定の食べ物を消化・吸収しにくいなど、免疫反応以外の仕組みによって不調が起こるものです。

症状が似ている場合もあるため、食べ物を変更して改善したというだけでは、食物アレルギーと確定できません。

柴犬でも食物アレルギーは起こりますが、ほかの犬種と比べて特に発症しやすいと断定できる十分な根拠はありません。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが吸血する際に注入する唾液成分に対して、犬の免疫系が過敏に反応することで発症する皮膚炎です。

ノミに刺された部分だけでなく、腰からお尻、しっぽの付け根、太ももの後ろ側などに強いかゆみや赤みが現れることがあります。

犬が激しくかいたり、かんだりすることで、脱毛やかさぶた、皮膚の傷につながる場合もあります。

ノミアレルギー性皮膚炎は、必ずしも大量のノミが寄生している場合だけに起こるわけではありません。ノミの姿が確認できなくても、アレルギー反応が生じている可能性があります。

柴犬に特有の病気ではなく、ほかの犬種にも発症します。予防薬によるノミ対策と生活環境の管理が重要です。

柴犬のアレルギーで現れる主な症状

屋外で体を掻いている柴犬

柴犬のアレルギーでは、皮膚のかゆみや赤みが代表的な症状です。また、耳の異常や、食物アレルギーに伴う消化器症状が見られることもあります。

ただし、これらの症状は、寄生虫を含むさまざまな感染症や消化器疾患などでも起こります。症状だけでアレルギーと判断せず、変化の現れ方や持続期間を確認しましょう。

皮膚のかゆみ・赤み・脱毛

アレルギー性皮膚疾患で気づきやすい症状は、頻繁に体をかく、足先をなめる、皮膚をかむ、家具や床に体をこすりつけるといった行動です。

特に顔、耳の周囲、足先、わきの下、お腹、内股などは、犬アトピー性皮膚炎に伴う症状が現れることのある部位です。ただし、病気によって症状の出やすい場所は異なります。

かゆみが続くと、皮膚が赤くなったり、毛が抜けたりすることがあります。さらに、皮膚を繰り返し傷つけることで、細菌や酵母による二次感染が生じる場合もあります。

柴犬はダブルコートと呼ばれる二重構造の被毛を持ち、春や秋の換毛期には大量の下毛が抜けます。

通常の換毛では古い毛が抜け替わりますが、皮膚に強い赤みやかゆみがある、部分的に毛が薄くなる、かさぶたができるといった場合は、単なる換毛とは異なる可能性があります。

抜け毛の量だけで判断せず、毛の下にある皮膚の状態も確認することが大切です。

耳のかゆみ・外耳炎

柴犬が頻繁に耳をかく、頭を振る、耳を床や家具にこすりつけるといった行動を見せる場合は、外耳炎などの耳のトラブルが起きている可能性があります。

外耳炎は、耳の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる病気です。耳の赤み、耳垢の増加、におい、分泌物などが見られることがあります。

犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが外耳炎に関係する場合もあり、繰り返す外耳炎がアレルギー性疾患を調べるきっかけになることもあります。

ただし、外耳炎には耳ダニ、異物なども関係するほか、細菌やマラセチアの増殖によって炎症が悪化する場合もあります。

耳の症状が続く場合は、自己判断で洗浄液や点耳薬を使用せず、動物病院で耳の中を確認してもらいましょう。

下痢・嘔吐などの消化器症状

食物アレルギーがある犬では、皮膚症状に加えて下痢や嘔吐、軟便、排便回数の増加などが見られる場合があります。

一方、食物アレルギーがあっても皮膚のかゆみだけが目立ち、消化器症状を伴わないこともあります。

また、下痢や嘔吐の原因は食物アレルギーだけではありません。急な食事の変更、食物不耐性、感染症(消化管内寄生虫を含む)、誤食などでも起こります。

食後に症状が出たからといって、必ずしもその食材がアレルギーの原因とは限りません。

消化器症状が続いたり繰り返したりする場合は、食事内容や症状の経過を記録して受診しましょう。急激な全身状態の悪化を伴う場合は、緊急対応が必要です。

アレルギーが疑われるときの対処法と受診の目安

処置台の上で獣医師に診察されている柴犬

柴犬の皮膚のかゆみや赤みが続く場合や、同じ症状を繰り返す場合は、動物病院で原因を確認することが大切です。

特に、かきむしって皮膚に傷やただれができている、脱毛が広がっている、耳から強いにおいや分泌物が出ているといった場合は、早めの受診を考えましょう。

強いかゆみで眠れない、落ち着いて過ごせない、食欲が低下しているなど、普段の生活に支障が出ている場合も、診察を受ける目安になります。

受診前には、症状が始まった時期、かゆみが強くなる時間帯や季節、症状のある部位、食事やおやつの内容、ノミ・マダニ予防の状況などを整理しておくと役立ちます。

皮膚の赤みや脱毛は写真に残し、体をかく様子などは動画で記録しておくと、診察時に症状を伝えやすくなります。

また、自己判断で人間用の薬を塗ったり、かゆみ止めを飲ませたりすることは避けてください。原因が不明な段階で食材を次々と除去することも、診断を難しくする場合があります。

緊急受診が必要な症状

アレルギー反応のなかには、急激に全身へ影響が及ぶアナフィラキシーと呼ばれる重い反応があります。

急な呼吸困難、倒れて立てなくなる虚脱、呼びかけへの反応の低下、急激な衰弱などが見られた場合は、直ちに救急対応が可能な動物病院を受診してください。

また、急に顔やまぶたが腫れる、全身にじんましんが出る、嘔吐や下痢を繰り返すといった症状も、急性アレルギー反応で注意すべき変化です。

犬のアナフィラキシーでは消化器症状が目立つことがあり、皮膚にじんましんや赤みが見られなくても、重い全身性反応が起きている可能性があります。

特に、予防接種や投薬、虫刺されなどの後に、突然激しい嘔吐や下痢が起こり、ぐったりする場合は緊急性があります。

呼吸困難や虚脱などを伴う場合は、自宅で様子を見ず、速やかに救急診療を受けてください。可能であれば移動前に病院へ連絡し、症状を伝えましょう。

柴犬のアレルギーの検査・診断方法

スライドグラスが置かれた顕微鏡のアップ

柴犬のアレルギーを診断する際は、問診や身体検査を行い、必要に応じて皮膚や耳の検査、食事を使った試験などを組み合わせます。

犬アトピー性皮膚炎には、それだけで確定診断できる単独の検査はありません。似た症状を起こす病気を確認しながら、診断を進めることが基本です。

アレルギー以外の皮膚病の確認

皮膚のかゆみや赤みは、アレルギー以外の病気でも起こります。そのため、診察ではノミやダニなどの寄生虫、細菌感染、マラセチアによる皮膚炎などを確認します。

代表的な検査には、皮膚の表面から採取した細胞を顕微鏡で観察する皮膚細胞診や、皮膚の一部をこすって寄生虫などを調べる皮膚掻爬検査があります。

耳に症状がある場合は、耳鏡による観察や耳垢の顕微鏡検査を行うこともあります。必要に応じて、皮膚糸状菌というカビの一種を調べる検査なども検討されます。

こうした検査で寄生虫や細菌などの感染症が確認された場合は、まず原因に応じた治療を行い、かゆみや皮膚の変化を再評価します。

アレルギー性皮膚炎と感染症が同時に存在することもあるため、ひとつの病気だけで説明できるとは限りません。

食物アレルギーを調べる除去食試験

犬の食物アレルギーを調べるうえで重要なのが、除去食試験と食物負荷試験です。

除去食試験では、獣医師が選んだ食事だけを一定期間与え、かゆみや消化器症状が改善するかを確認します。

使用する食事には、タンパク質を細かく分解した加水分解タンパク食や、これまで食べた経験がないタンパク質を利用した食事などがあります。

2023年の米国動物病院協会(AAHA)のガイドラインでは、除去食試験の期間として4〜12週間が示されています。

8週間程度がひとつの目安ですが、症状や治療状況によっては、より長い期間が必要になることもあります。

試験中は指定された食事だけを与えることが重要です。おやつや人間の食べ物、味の付いた薬などに含まれる成分が、試験結果に影響する場合があります。

症状が改善した場合は、獣医師の指導のもとで以前の食事や疑われる食材を再び与える食物負荷試験を行い、症状が再発するかを確認します。

除去食試験中に改善したというだけでは、食物アレルギーの確定診断にはなりません。食物負荷試験まで含めて評価することが大切です。

アレルギー検査で分かることと費用

犬のアレルギー検査には、血液中のアレルゲン特異的IgE抗体を調べる検査や、皮膚に少量のアレルゲンを注入して反応を確認する皮内反応試験などがあります。

IgEとは、アレルギー反応に関係する抗体の一種です。これらの検査は、花粉やダニなどの環境アレルゲンに対する反応を調べる目的で利用されます。

ただし、検査で陽性になった物質が、必ずしも現在の症状の原因とは限りません。また、陰性だからといって、すべてのアレルギー性疾患を否定できるわけでもありません。

犬アトピー性皮膚炎の診断では、これらの検査だけで病気を確定することはできません。主に、アレルゲン特異的免疫療法を検討する際、対象となる環境アレルゲンを選ぶために用いられます。

また、食物アレルギーについては、血液検査だけで確定診断することはできず、除去食試験と食物負荷試験が重要です。

検査費用は、検査項目や実施する動物病院によって異なります。

例えば、神奈川県横浜市の「犬と猫の病院パルケ」が公開している診療料金では、アレルゲン特異的IgE検査40項目が24,200円、食物アレルギーに関するリンパ球反応検査9項目が22,000円とされています(2026年10月25日確認)。

リンパ球反応検査も、食物アレルギーの確定診断を単独で行う検査ではありません。検査の必要性は、診察内容や目的に応じて判断されます。

こうした金額は特定の動物病院における公開料金であり、全国共通の相場ではありません。診察料や採血料、追加検査などが別途必要になることもあります。

皮内反応試験についても、実施施設や検査内容によって費用が異なるため、検査目的と総額を事前に確認しましょう。

柴犬のアレルギーの治療方法

薬袋と薬と注射器が置かれている光景

柴犬のアレルギー治療は、原因となる疾患によって異なります。犬アトピー性皮膚炎では、かゆみや炎症を薬で抑えながら、症状を継続的に管理することが基本です。

食物アレルギーでは原因として確認された食材を避けること、ノミアレルギー性皮膚炎ではノミの駆除と予防が重要になります。

また、犬アトピー性皮膚炎では、原因となっているアレルゲンを含む製剤を獣医師の管理・指導下で少量ずつ投与し、免疫反応の変化を目指すアレルゲン特異的免疫療法が検討される場合もあります。

免疫療法はすべての犬に同じ効果が得られるわけではなく、治療に時間がかかることもあります。

治療によって症状を良好にコントロールできる犬はいますが、すべてのアレルギー性疾患が必ず完治するわけではありません。

薬によるかゆみ・炎症の治療

犬アトピー性皮膚炎の治療には、かゆみや炎症を抑える薬が使用されます。薬の種類は、症状の強さや治療期間、年齢、ほかの病気の有無などを踏まえて選択されます。

代表的な薬のひとつが、オクラシチニブです。かゆみや炎症に関係する細胞内の情報伝達を抑えるJAK阻害薬で、日本でも犬のアトピー性皮膚炎などに伴う症状の緩和を目的とした製剤が承認されています。

また、ロキベトマブは、かゆみに関係するインターロイキン31という物質に作用する注射薬です。犬のアトピー性皮膚炎などに伴うかゆみの治療に使用されます。

そのほか、炎症を抑えるステロイド薬や、免疫反応を調整するシクロスポリンなども治療の選択肢です。

ただし、薬によって適応や使用上の注意点、効果が現れるまでの時間、副作用の特徴が異なります。すべての柴犬に同じ薬が適しているわけではありません。

皮膚に細菌やマラセチアによる二次感染がある場合は、原因に応じて抗菌薬や抗真菌薬、薬用シャンプーなどを併用することもあります。

薬は自己判断で増減・中止せず、症状の変化や副作用が疑われる様子を確認しながら、獣医師の指示に従って使用しましょう。

治療しても症状が改善しない場合

アレルギーの治療を続けても柴犬のかゆみや皮膚炎が改善しない場合は、原因や治療内容を改めて評価することが重要です。

例えば、アトピー性皮膚炎によるかゆみが薬で軽減していても、細菌やマラセチアによる二次感染が残っていると、皮膚の赤みやかゆみが続く場合があります。

また、ノミなどの寄生虫対策が十分でない場合や、食物アレルギーが併存している場合にも、症状が改善しにくくなることがあります。

治療開始後の経過や薬の使用状況、食事内容、生活環境の変化を確認し、必要に応じて皮膚検査や食事試験を見直します。

薬の効き方には個体差があるため、使用する薬や治療方法の変更が必要になる場合もあります。

同じ症状を何度も繰り返す場合や、十分な治療を行っても改善が乏しい場合は、皮膚科診療を専門とする獣医師への相談も選択肢になります。

食物アレルギーの食事管理とフード選び

食器からフードを食べている柴犬

柴犬の食物アレルギー対策では、原因が確認されているかどうかによって、適切な食事管理が異なります。

診断前は普段の食事やおやつを記録し、除去食試験中は指定された食事を厳密に管理します。原因食材が確認された後は、その食材を避けながら必要な栄養を確保することが基本です。

アレルギーが疑われるという理由だけで、肉類や穀物などを一律に制限する必要はありません。

食物アレルギーの主な原因食材

犬の食物アレルギーでは、牛肉、乳製品、鶏肉、小麦などが原因食材として報告されています。

2016年に学術誌「BMC Veterinary Research」で発表された研究レビューでは、原因食材が確認された犬297頭の報告をまとめ、牛肉34%、乳製品17%、鶏肉15%、小麦13%などの割合が示されました。

ただし、これらの数値は研究で報告された症例における原因食材の割合であり、それぞれの食材を食べた犬の発症率ではありません。

また、主に海外の研究報告に基づくため、日本で飼育されている柴犬にも同じ割合が当てはまるとは限りません。

食物アレルギーは、特定の食材に対する個々の犬の反応によって起こります。牛肉や鶏肉が原因になる犬もいれば、問題なく食べられる犬もいます。

そのため、すべての柴犬が牛肉や鶏肉、小麦などを避ける必要はありません。原因食材は、獣医師による診断を通じて確認することが大切です。

通常のドッグフードと療法食の違い

通常のドッグフードとアレルギー用の療法食では、使用目的や原材料の管理方法が異なります。

一般的な総合栄養食は、犬が必要とする栄養をバランスよく摂取するための食事です。一方、アレルギー用療法食は、特定の食物成分への反応を考慮して設計されています。

代表的なものに、タンパク質を細かく分解して免疫系に認識されにくくする加水分解タンパク食や、これまで食べたことがないタンパク質を使用する食事があります。

ただし、加水分解タンパク食であれば、どの犬にも必ず症状が出ないというわけではありません。原材料や分解の程度、過去の食事歴なども考慮する必要があります。

また、「グレインフリー」は穀物を使用していないことを示す表示であり、食物アレルギーに対応できることを保証するものではありません。

「無添加」という表示だけでも、原因食材が含まれていないとは判断できません。

除去食試験では、原材料の混入管理なども重要です。市販の一般的なフードを自己判断で切り替えるだけでは、正確な診断につながらない場合があります。

診断目的の食事は獣医師の指導に従って選び、原因食材が確認された後は、栄養バランスを維持できる食事を継続しましょう。

おやつ・手作りごはん・サプリメントの注意点

食物アレルギーの除去食試験中は、ドッグフード以外の食べ物にも注意が必要です。

少量のおやつやトッピングでも、原因となる成分が含まれていれば、試験結果に影響する可能性があります。

また、薬を飲ませるために使用するおやつや、味付きのサプリメントなども、食材の管理を難しくする場合があります。

試験期間中に与えてよいものは、飲み薬や予防薬も含めて事前に獣医師へ確認しましょう。ご褒美が必要な場合は、許可された試験用の食事を一部取り分けて使う方法もあります。

手作りごはんは原材料を管理しやすい面がありますが、自己流で長期間続けると、タンパク質やミネラル、ビタミンなどの栄養バランスが偏るおそれがあります。

特に成長期の子犬では栄養不足(欠乏症)や過剰症の影響が大きいため、手作り食を利用する場合は獣医師などの専門家による栄養設計が重要です。

また、オメガ3脂肪酸などのサプリメントは、皮膚の健康管理を補助する目的で検討されることがありますが、食物アレルギーの原因食材を特定したり、アレルギーを治したりするものではありません。

サプリメントも原材料や成分を確認し、必要性や使用方法を相談したうえで取り入れましょう。

家庭でできる柴犬のアレルギー対策

体を洗われている最中の柴犬

柴犬のアレルギー対策では、動物病院での治療に加え、家庭での環境管理やスキンケアも重要です。

特に犬アトピー性皮膚炎では、皮膚への刺激を減らし、清潔な状態を保つことが症状管理の助けになります。ただし、家庭でのケアだけで病気を治せるわけではありません。

花粉・ダニ・ノミなどの環境対策

犬アトピー性皮膚炎では、室内のチリダニや花粉などの環境アレルゲンが症状に関係する場合があります。

家庭では、床やカーペット、ソファなどを定期的に掃除し、犬が使用するベッドや毛布を洗濯することで、ほこりや汚れを減らすことができます。

寝具は洗濯表示に従って洗い、十分に乾燥させましょう。湿気が多い環境ではダニやカビが増えやすいため、換気や室内の湿度管理にも気を配ります。

花粉が多い季節には、散歩から帰った後に足先や体の表面を湿らせた柔らかい布などで軽く拭く方法もあります。

ただし、皮膚を強くこすると刺激になるため、赤みやただれがある場所は無理に拭かないようにしましょう。

また、ノミアレルギー性皮膚炎の対策では、動物病院で処方された予防薬を適切に使用することが重要です。

ノミが確認された場合は、犬の体だけでなく、寝具や床などの生活環境にも注意が必要です。多頭飼育の場合は、同居動物の寄生虫対策も確認しましょう。

こうした対策によって環境アレルゲンを完全に除去できるわけではありませんが、愛犬の症状や生活環境に合わせて継続することが大切です。

ブラッシング・シャンプー・保湿ケア

柴犬は、外側の上毛と内側の下毛からなるダブルコートの犬種です。抜け毛や汚れを取り除き、皮膚の状態を確認するためにも、定期的なブラッシングが役立ちます。

ブラッシングは、通常であれば1日1回程度を目安に、短時間から行うとよいでしょう。ただし、皮膚炎の状態や毛量、換毛期などに応じて頻度や方法を調整します。

強く引っ張ったり、同じ場所を繰り返しこすったりすると、皮膚に負担がかかるため注意が必要です。

シャンプーは、皮膚表面の汚れやアレルゲンを洗い流す目的で行われます。犬アトピー性皮膚炎では、皮膚の状態に応じて保湿成分を含むシャンプーや薬用シャンプーを使用する場合もあります。

ただし、シャンプーの適切な頻度は、皮膚の状態や製品の種類、治療目的によって異なります。洗いすぎると皮膚の乾燥や刺激につながる場合もあります。

洗う際は熱いお湯を避け、皮膚をこすりすぎないようにします。シャンプー成分を十分にすすぎ、タオルやドライヤーで適切に乾かしましょう。

ドライヤーの熱風を長時間同じ場所に当てることも避けてください。

皮膚が乾燥している場合には、犬用の保湿剤などを使用することもありますが、人間用の保湿剤を自己判断で使用することは勧められません。

強い赤みやただれ、出血などがある場合は、無理にブラッシングやシャンプーを行わず、皮膚の状態に合ったケア方法を獣医師に確認しましょう。

犬アレルギーがある人が柴犬を飼う場合の注意点

人に体を預けてなでられている柴犬

ここまで紹介した柴犬自身のアレルギーとは別に、人間が犬に対してアレルギー反応を起こす場合もあります。

人間の犬アレルギーでは、犬の皮膚から落ちるフケや唾液、尿などに含まれるタンパク質がアレルゲンとなります。

犬と接触した後に、くしゃみや鼻水、目のかゆみ、皮膚のかゆみなどが現れることがあり、喘息のある人では呼吸器症状が悪化する場合もあります。

柴犬は抜け毛が多い犬種ですが、抜け毛の量だけで人間の犬アレルギーの起こりやすさを判断することはできません。

また、毛が抜けにくい犬種であっても、アレルゲンをまったく持たないわけではありません。

犬アレルギーがある人が柴犬を飼う場合は、寝室への立ち入りを制限する、室内をこまめに掃除する、寝具を洗濯する、空気清浄機を活用するなどの対策が考えられます。

ただし、これらの対策だけでアレルギー症状を完全に防げるとは限りません。

すでに犬アレルギーがある人や、犬との接触によって症状が出る人は、飼育を始める前に医療機関で相談し、自身の症状や生活環境を踏まえて判断することが大切です。

まとめ

ソファの上で伏せてくつろいでいる柴犬

柴犬は、日本で犬アトピー性皮膚炎の好発犬種として知られています。ただし、すべての柴犬が発症するわけではなく、食物アレルギーやノミアレルギー性皮膚炎など、アレルギー全般に特にかかりやすいとは限りません。

アレルギー性疾患では、皮膚のかゆみや赤み、脱毛、外耳炎などが見られることがあります。食物アレルギーでは下痢や嘔吐を伴う場合もありますが、同じ症状はほかの病気でも起こるため、自己判断で原因を決めつけないことが重要です。

症状が続いたり繰り返したりする場合は、動物病院で原因を確認しましょう。特に呼吸困難や虚脱、急激な全身状態の悪化が見られる場合は、緊急受診が必要です。

治療方法は原因によって異なり、犬アトピー性皮膚炎では薬物療法と継続管理、食物アレルギーでは原因食材の確認と適切な食事管理、ノミアレルギー性皮膚炎ではノミ対策が重要になります。

家庭でも室内清掃やブラッシング、適切なシャンプーなどを取り入れ、愛犬の皮膚の状態に合わせた管理を続けることが大切です。