ブリティッシュロングヘアが注意したい病気4選

カラーをしたブリティッシュロングヘア

ブリティッシュロングヘアで注意したい病気には、肥大型心筋症、多発性嚢胞腎(PKD)、尿石症、膀胱炎があります。

肥大型心筋症は、この猫種での発症が研究でも報告されている心臓病です。多発性嚢胞腎は遺伝性の腎臓病で、近縁のブリティッシュショートヘアで原因遺伝子の変異が確認されており、ブリティッシュロングヘアも検査対象に含まれています。

一方、尿石症や膀胱炎は一般的な猫にも見られる病気で、ブリティッシュロングヘアに特に多いと断定できる十分なデータはありません。

それぞれの病気の特徴や症状、治療法を理解し、日頃から健康状態に注意することが大切です。

肥大型心筋症

肥大型心筋症(HCM)は、主に心臓の左心室の筋肉が厚くなり、血液を十分に取り込みにくくなる病気です。遺伝的な要因が関係する場合がありますが、ブリティッシュロングヘアに特有の原因遺伝子は確立されていません。

2026年に発表されたイランの動物病院を対象とする研究では、心臓病が疑われて検査を受けたブリティッシュロングヘア120頭のうち35頭で肥大型心筋症が確認されました。ただし、この結果は一般的な飼育猫や日本国内の発症率を示すものではありません。

初期には目立った症状がないこともありますが、進行すると呼吸が速くなる、疲れやすい、元気がなくなるなどの変化が見られます。重症例では心不全や血栓塞栓症を起こすこともあります。

治療は病状に応じて、心不全の治療薬や血栓を予防する薬などを使用します。無症状の場合は、経過観察を行うこともあります。定期的な心臓の検査によって病状を把握することが重要です。

多発性嚢胞腎(PKD)

多発性嚢胞腎(PKD)は、腎臓の内部に液体がたまった袋状の構造である「嚢胞」が複数形成される遺伝性疾患です。嚢胞が増大すると、正常な腎臓の組織が圧迫され、腎機能が低下することがあります。

猫の多発性嚢胞腎にはPKD1遺伝子の変異が関係しています。ブリティッシュロングヘアも遺伝子検査の対象となる猫種ですが、この猫種における発症率の高さを示す研究データは限られています。

初期には無症状のことも多く、腎機能が低下すると水を飲む量や尿量が増える、食欲が落ちる、体重が減少するなどの症状が現れます。

現在、嚢胞そのものをなくす根本的な治療法はありません。腎機能の状態に応じて食事療法や水分管理、薬物療法などを行い、病状の進行を管理します。

尿石症

尿石症は、尿に含まれるミネラルなどが結晶化し、腎臓や膀胱などの尿路に結石ができる病気です。ブリティッシュロングヘアに限らず、多くの猫種で発症する可能性があります。

猫で代表的な結石には、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石があります。尿の性質や水分摂取量、食事、体質など、複数の要因が関係します。

主な症状は血尿、頻尿、排尿時の痛みなどです。結石が尿道をふさぐと尿が出なくなり、命に関わることがあります。

治療は結石の種類や位置によって異なります。ストルバイト結石では療法食による溶解を目指す場合がありますが、シュウ酸カルシウム結石は食事で溶かせないため、必要に応じて外科的な除去などを検討します。

膀胱炎

膀胱炎は、尿をためる膀胱に炎症が起こる病気です。ブリティッシュロングヘアでも注意したい病気ですが、この猫種だけに特有の疾患ではありません。

猫では、明確な原因が特定できない「特発性膀胱炎」が代表的です。ストレスや生活環境など複数の要因が関係すると考えられています。また、細菌感染や結石が膀胱の炎症に関係する場合もあります。

主な症状は頻尿、血尿、トイレ以外での排尿、排尿時の痛みなどです。尿道閉塞が起こる場合もあり、排尿できないときは緊急受診が必要です。

治療は原因によって異なり、特発性膀胱炎では痛みの緩和や生活環境の改善、水分摂取の工夫などを行います。細菌感染が確認された場合には、必要に応じて抗菌薬を使用します。

ブリティッシュロングヘアの遺伝性疾患は検査でわかる?

検体チューブを並べる手元

ブリティッシュロングヘアで注意したい遺伝性疾患については、遺伝子検査や画像検査などを組み合わせることで、病気の有無や健康状態を調べられる場合があります。

多発性嚢胞腎(PKD)では、代表的な原因であるPKD1遺伝子の変異を調べる検査が利用できます。遺伝子検査によって特定の変異の有無を確認できますが、陽性でも将来の症状の重さや進行速度までは予測できません。

また、遺伝子検査で陰性だった場合も、腎臓の病気をすべて否定できるわけではありません。腎臓の超音波検査では、嚢胞の有無や大きさ、腎臓の状態を直接確認できます。

一方、肥大型心筋症では、心臓の筋肉の厚さや動きを確認する心臓超音波検査(心エコー検査)が重要です。必要に応じて血圧測定や血液検査なども行い、心臓の筋肉が厚くなる別の原因がないか調べます。

肥大型心筋症に関連する遺伝子変異は一部の猫種で知られていますが、ブリティッシュロングヘアの発症リスクを網羅的に判定できる遺伝子検査は確立されていません。

検査の必要性や実施する時期は、家族歴や年齢、診察結果などを踏まえて獣医師と相談しましょう。

ブリティッシュロングヘアの病気で注意したい症状・サイン

窓の外を見るブリティッシュロングヘア

ブリティッシュロングヘアの病気を早期に発見するためには、呼吸の様子、飲水量、尿の状態、食欲など、普段の生活で見られる変化に注意することが大切です。

肥大型心筋症では、初期に症状が現れないこともあります。進行すると、安静にしていても呼吸が速い、疲れやすい、活動量が減る、元気がなくなるなどの変化が見られる場合があります。

多発性嚢胞腎などによって腎機能が低下すると、水を飲む量や尿量が増える「多飲多尿」、食欲低下、体重減少、嘔吐などが見られることがあります。

尿石症や膀胱炎では、何度もトイレに行く、少量ずつ排尿する、血尿が出る、排尿時に鳴くなどの症状に注意が必要です。

特に、呼吸が苦しそうで口を開けて呼吸している、突然後ろ足が動かなくなった、何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ないといった場合は緊急性が高く、直ちに動物病院を受診する必要があります。

症状だけで病気を特定することは難しいため、普段と違う様子が続く場合も早めに獣医師へ相談しましょう。

ブリティッシュロングヘアの病気を予防・早期発見するためのポイント

体重計にのるブリティッシュロングヘア

ブリティッシュロングヘアの健康を守るためには、適切な体重管理、食事と水分摂取への配慮、定期的な健康診断が重要です。

肥満は健康上のさまざまな問題につながるため、食事量を適切に調整し、無理のない運動習慣を取り入れましょう。体重だけでなく、体形や筋肉の状態も確認することが大切です。

尿路疾患への対策としては、新鮮な水をいつでも飲める環境を整え、必要に応じてウェットフードを取り入れるなど、水分摂取を促す工夫が役立ちます。

また、トイレを清潔に保ち、落ち着いて過ごせる環境を用意することも大切です。ただし、これらの対策ですべての尿路疾患を予防できるわけではありません。

健康診断では、身体検査に加えて、必要に応じて血液検査や尿検査、血圧測定、画像検査などを受けましょう。心臓超音波検査では心筋の厚さや心臓の働きを、腎臓の超音波検査では嚢胞などの構造的な異常を確認できます。

肥大型心筋症や多発性嚢胞腎など、遺伝的な要因が関係する病気は、生活習慣の改善だけで発症を防げるものではありません。

そのため、定期的な検査による早期発見と、異常が見つかった場合の適切な病状管理を心がけましょう。

まとめ

カラーをつけて眠るブリティッシュロングヘア

ブリティッシュロングヘアでは、肥大型心筋症や多発性嚢胞腎などの遺伝的な要因が関係する病気に加え、尿石症や膀胱炎などの尿路疾患にも注意が必要です。

多発性嚢胞腎はPKD1遺伝子の検査や腎臓の超音波検査、肥大型心筋症は心臓超音波検査などによって状態を調べられます。

呼吸の異常、多飲多尿、血尿、頻尿など、普段と違う変化があれば早めに獣医師へ相談しましょう。呼吸困難や突然の後ろ足のまひ、排尿できない状態は緊急受診が必要です。

適切な体重管理や水分摂取、定期的な健康診断を心がけ、病気の早期発見と健康状態に応じた管理につなげることが大切です。