
ボーダーコリーは、基本的に定期的な全身カットが必要ない犬種です。ただし、足裏やおしり周り、飾り毛など、毛の状態によっては部分的に整えることがあります。
ボーダーコリーの被毛には、長めの毛を持つ「ラフコート」と、短い毛を持つ「スムースコート」の2種類があります。
どちらも、外側の上毛(オーバーコート)と内側の柔らかい下毛(アンダーコート)からなるダブルコートです。
英国ロイヤルケネルクラブの犬種標準でも、両タイプの被毛が認められています。特にラフコートでは、首周りや脚、尻尾などに豊かな飾り毛が見られます。
トイプードルのように全身の毛を定期的に短く整えることを前提とした犬種とは異なり、ボーダーコリーは自然な毛並みを生かしたお手入れが基本です。
ただし、全身カットが不要だからといって、被毛のお手入れまで不要になるわけではありません。
日常的なブラッシングや必要に応じたシャンプーで、抜け毛や汚れを取り除くことが大切です。換毛期には下毛が多く抜けることがあり、長い飾り毛はもつれる場合もあります。
被毛をすべて短くするのではなく、毛の長さや汚れやすさ、もつれの状態などを確認しながら、必要な部分だけを整えるとよいでしょう。

ボーダーコリーの部分カットでは、足裏、おしり周り、胸や脚の飾り毛、尻尾などを必要に応じて整えます。
主な目的は、汚れの付着を減らしたり、お手入れしやすい状態を保ったりすることです。毛が伸びているだけで必ず切る必要はなく、部位ごとの状態を見て判断しましょう。
おしりカットは、おしり周りの毛を短く整える方法です。特にラフコートのボーダーコリーでは、後ろ脚やおしり周りに長い毛が生えていることがあります。
排便時に便が付着しやすい、毛が汚れやすいなどの場合は、肛門周辺の毛を必要な範囲で整えると、お手入れがしやすくなります。
一方、桃尻カットは、おしり全体に丸みを持たせて桃のような形に仕上げるデザインです。衛生目的のカットとは異なり、見た目を整える意味合いもあります。
ボーダーコリーでも桃尻カットの施術例がありますが、すべての犬に必要なスタイルではありません。
自然な毛並みを残したい場合は、肛門周辺の汚れやすい毛だけを整える方法もあります。
肛門や陰部の周辺は皮膚を傷つけやすいため、自宅で無理に短く刈らず、トリマーに相談すると安心です。
足裏のカットは、肉球の周囲や肉球を覆うように伸びた毛を整えるお手入れです。
足裏の毛が長くなって肉球を覆うと、フローリングなどの滑りやすい床で踏ん張りにくくなる場合があります。
また、散歩中に泥や砂などが付着しやすくなり、足を拭く際にも手間がかかることがあります。
肉球が毛に覆われている、足裏の汚れを落としにくいといった状態は、カットを検討する目安です。
ただし、毛を皮膚の奥まで刈る必要はありません。肉球の表面を覆っている毛を中心に、安全な範囲で整えます。
足裏の毛を整えても、爪の長さや床材、関節の状態などによっては滑りやすさが残ることがあります。歩き方に異常がある場合は、毛だけが原因と考えないようにしましょう。
ラフコートのボーダーコリーでは、胸、脚、お腹、尻尾などに長い飾り毛が見られます。
飾り毛とは、体の一部に生える周囲より長い毛のことで、ボーダーコリーの自然な外見を形づくる特徴のひとつです。
胸やお腹の毛が地面の汚れを拾いやすい場合や、脚の飾り毛が絡まりやすい場合は、毛先を軽く整えることがあります。
尻尾の毛も、長さが気になる部分を整えて自然な輪郭に仕上げることができます。
ただし、長い飾り毛をすべて短くする必要はありません。被毛の状態に問題がなければ、ブラッシングで自然な長さを保つ方法もあります。
特にもつれが強い場合は、無理に引っ張ったり、皮膚に近い位置からハサミで切ったりせず、トリマーに相談しましょう。

ボーダーコリーには、全身カットを何週間ごとに行うといった一律の必要周期はありません。
部分カットは毛の伸び方や汚れやすさに応じて行い、シャンプーなどのグルーミングは別に考えます。サロンの料金も、依頼する施術内容によって異なります。
ボーダーコリーの全身カットは基本的に不要なため、毎月必ず全身の毛を切る必要はありません。
部分カットについても、すべての犬に共通する頻度はなく、毛の伸び方や生活環境によって必要なタイミングが変わります。
例えば、足裏の毛が肉球を覆うようになったときや、おしり周りの毛に排泄物が付着しやすくなったときは、部分カットを検討する目安です。
胸や脚の飾り毛についても、汚れやもつれが気になる部分を必要に応じて整えます。
一方、シャンプーやブラッシングは、カットとは別のお手入れです。被毛の汚れ、皮膚の状態、換毛期などに応じて適切な頻度を考える必要があります。
トリミングサロンを利用する場合も、毎回全身カットを注文する必要はありません。シャンプーコースに足裏やおしり周りのカットを組み合わせる方法もあります。
ボーダーコリーのトリミング料金は、サロンや施術内容によって異なります。全国共通の料金があるわけではないため、実際の店舗の掲載価格を参考にするとよいでしょう。
例えば、ドッグサロンFlowerの公式料金表では、ボーダーコリーのシャンプーコースが7,150円から、体を5mm以下で丸刈りにするカットコースが8,250円からとされています。
また、5mm以上のバリカンまたは全身をハサミで仕上げるカットコースは10,450円からです。いずれも税込価格で、毛量や毛玉などによって追加料金が発生する場合があります。
福岡市のトリミング&デンタルサロンfuwansでは、ボーダーコリーのシャンプーコースが税込10,120円、シャンプー&カットコースが税込14,080円と掲載されています。
同店のシャンプーコースには足裏・足周りカットなどが含まれています。また、シャンプーコースに追加できるセレクトケアとして、足裏バリカンが税込1,000円から、部分カット1か所が税込1,000円からと案内されています。料金は犬の大きさや施術内容によって異なる場合があります。
これらは2026年10月8日に公式サイトで確認した個別店舗の掲載料金であり、全国平均や実際の支払額を示すものではありません。
所要時間も施術内容によって異なります。青森県弘前市のDog care MARUでは、ボーダーコリーのシャンプーコースが約2〜2時間半、全身カットを含むコースが約3〜3時間半と案内されています。
実際には毛量やもつれ、犬の状態などで時間が変わるため、予約時に確認することが大切です。
なお、シャンプーコースには足裏カットなどが含まれる店舗もあります。希望する部位のカットが基本料金に含まれているか、追加料金が必要かも確認しておきましょう。

ボーダーコリーは、夏だからといって全身を短く刈る必要はありません。
サマーカットとは、暑い季節に合わせて被毛を短く整えることを指しますが、必ずしも全身をバリカンで刈る方法だけではありません。
ボーダーコリーのダブルコートは、外側の上毛と内側の下毛が重なった構造で、外部の環境から皮膚を守る役割を持っています。
特に上毛は、日差しなどから皮膚を保護する働きがあります。そのため、被毛を極端に短く刈ると、皮膚が紫外線などの影響を受けやすくなる可能性があります。
一方で、毛を短くすれば必ず涼しくなるとは限りません。被毛の長さだけで暑さへの強さや体温調節のしやすさが決まるわけではないためです。
また、犬によっては短く刈った後に毛が伸びにくくなったり、毛並みが不ぞろいになったりする場合があります。ただし、すべての犬に起こるわけではありません。
サマーカットを希望する場合は、被毛をどの程度残すか、どの部位を整えるかについて、トリマーと相談するとよいでしょう。
夏の暑さ対策としては、カットだけに頼らず、室温や湿度を適切に管理し、いつでも水を飲める環境を整えることが重要です。
散歩は気温が高い時間帯を避け、地面の熱さにも注意しましょう。暑い環境で激しいパンティング(口を開けた速い呼吸)やふらつき、ぐったりするなどの異常が見られた場合は、熱中症を疑い、涼しい場所へ移して体を冷やしながら速やかに動物病院へ連絡してください。
被毛を清潔に保ち、抜け毛やもつれを適切に取り除くことも、夏場のお手入れとして大切です。

ボーダーコリーには、自然な毛並みを整える部分カットのほか、見た目を大きく変えるデザインカットの施術例もあります。
例えば、ライオンカットは、首周りなどの毛を長めに残し、胴体の毛を短く整えることで、ライオンのようなシルエットに仕上げるスタイルです。
実際にボーダーコリーをライオンカットにした例も紹介されていますが、犬種として定められた標準的なスタイルではありません。
また、柴犬風カットは、全体の毛を短めに整え、丸みのあるシルエットを目指すスタイルです。ボーダーコリーを柴犬のようにカットした実例もあります。
ただし、ボーダーコリーと柴犬では被毛の長さや生え方が異なるため、カットしても柴犬と同じ外見になるわけではありません。
こうしたデザインカットでは、広い範囲の毛を短くする場合があります。被毛の保護機能やカット後の毛の伸び方などに注意が必要です。
また、希望するデザインによってはサロンで対応できないこともあります。写真などを見せて仕上がりを相談し、必要以上に短く刈らない方法も検討しましょう。
デザインカットは必須のお手入れではなく、被毛や皮膚の状態に問題がないことを確認したうえで選ぶ方法のひとつです。

ボーダーコリーの部分カットは、自宅で行える場合もあります。ただし、無理に全身を整えようとせず、足裏などの必要な範囲にとどめることが大切です。
カットを始める前には、犬の体調や皮膚の状態を確認し、安全に作業できる環境を整えましょう。犬が強く嫌がる場合や作業に不安がある場合は、トリマーに任せる方法もあります。
自宅でボーダーコリーの足裏をカットする場合は、犬用の部分カット向けバリカンやブラシ、滑りにくいマットなどを用意します。
作業前には、足裏に傷や赤み、腫れなどがないか確認しましょう。毛玉がある場合も、無理にバリカンを入れないことが大切です。
まず、犬を安定した場所に立たせるか、無理のない姿勢で座らせます。足を軽く支え、犬が嫌がらない範囲で肉球を確認できる状態にします。
足を強く引っ張ったり、関節を無理な方向に曲げたりしないよう注意してください。
次に、肉球からはみ出している毛を中心に、犬用バリカンを皮膚に対して寝かせるように当て、少しずつ整えます。
刃を強く押し付けず、肉球の表面を覆う毛が減る程度を目安にします。肉球の間に深く刃を入れたり、見えにくい部分を無理に刈ったりする必要はありません。
バリカンの刃は使用中に熱くなることがあるため、こまめに温度を確認しましょう。熱くなっている場合は使用を中止し、十分に冷ましてから作業します。
犬が動く場合は無理に続けず、皮膚を傷つける危険があるときはトリマーに任せてください。
なお、顔周りのヒゲは周囲の情報を感知する「触毛(しょくもう)」と呼ばれる特殊な毛です。美容目的で積極的に切る必要はなく、基本的に残すようにしましょう。
ボーダーコリーがカットを嫌がる場合は、いきなり道具を使わず、足先に触れられることやバリカンの音に少しずつ慣らしていきましょう。
例えば、足先に軽く触れられたら褒めたり、ごほうびを与えたりして、短い時間から練習します。
バリカンについても、最初は電源を入れずに見せるところから始め、落ち着いていられるようになってから、離れた場所で音を聞かせるなど段階的に慣らします。
嫌がる様子が見られた場合は、無理に次の段階へ進まず、犬が落ち着けるところまで戻ることが大切です。
体を強く押さえつけたり、嫌がっているのに作業を続けたりすると、カットに対する恐怖心が強くなる可能性があります。
子犬は短時間から慣らし、シニア犬では関節への負担や疲れやすさにも配慮しましょう。体調が優れない場合は、無理にカットを行わないでください。
また、足に触れただけで強く嫌がる場合は、痛みなどが隠れている可能性もあります。普段と違う反応が続くときは、獣医師に相談するとよいでしょう。
ボーダーコリーを短くカットした後、毛がなかなか伸びない、毛並みが不ぞろいになるといった変化が見られる場合があります。
犬では、短く刈った後に被毛の再生が遅れる「ポストクリッピングアロペシア」と呼ばれる状態が知られています。
これは、カット後に毛が通常のように伸びてこない状態を指しますが、すべての犬に起こるわけではありません。
また、毛の伸び方には個体差があり、被毛の再生が遅い原因もカットだけとは限りません。
皮膚の病気やホルモンの異常などが関係する場合もあるため、毛が長期間伸びない、脱毛部分が広がるといった場合は獣医師に相談しましょう。
カット後に赤みやかゆみが出た場合も、刃による刺激、摩擦、皮膚の病気など、複数の原因が考えられます。
異常が続いたり悪化したりする場合は、自己判断で薬を塗ったり、さらに短く刈ったりせず、動物病院で確認してもらうことが大切です。
特に傷や出血、強い痛みが見られる場合は、放置せず速やかに獣医師へ相談してください。

ボーダーコリーは、基本的に定期的な全身カットが必要ない犬種です。ラフコートとスムースコートのどちらもダブルコートであり、自然な毛並みを生かしながらお手入れすることが基本になります。
ただし、足裏の毛が肉球を覆っている、おしり周りに汚れが付着しやすい、飾り毛がもつれやすいといった場合には、部分カットを検討できます。
カットの頻度に一律の決まりはなく、毛の状態に合わせて判断しましょう。サロンの料金や所要時間も、シャンプーのみか全身カットを含むかなど、施術内容によって異なります。
また、夏場も全身を短く刈る必要はありません。サマーカットやデザインカットを希望する場合は、被毛や皮膚への影響を考慮することが大切です。
自宅では足裏などの必要な範囲を安全に整え、難しい部分は無理をせずトリマーに任せましょう。愛犬の被毛の特徴と生活環境に合ったお手入れを選ぶことが重要です。