
ボーダーコリーには多様な毛色がありますが、JKC(ジャパンケネルクラブ)の現行犬種標準では「全部で○種類」と具体的な数は定められていません。
JKCの犬種標準では「様々な毛色が認められている」とされる一方で、ホワイトが優勢であることは好ましくないとされています。
一方、海外の登録団体では、ブラック、ブルー、レッド、セーブル、ブルーマール、ライラック、ゴールドなど、より細かな毛色名が登録上の選択肢として用意されています。
ただし、こうした海外の登録色をそのまま「JKC公認色」と考えることはできません。毛色を理解するときは、犬種標準、登録上の名称、一般的な呼び方を分けて考えることが大切です。
ボーダーコリーの毛色が「何種類」と単純に数えにくい理由のひとつは、地色や配色、模様、マーキングといった異なる要素が組み合わさって見た目を作っているためです。
ブラックやブラウン、ブルーなどは、被毛の基本となる色を表します。そこへホワイトやタンが加わると、2色に見えるバイカラーや3色に見えるトライカラーなどになります。
一方、マールは色そのものというより、色素の濃淡が不規則に現れるパターンです。そのため、ブルーマールのほか、レッドマールやブラウンマールなどもあります。
さらに、額から鼻筋付近へ入る白を「ブレーズ」、首周りに入る白を「カラー」と呼ぶことがあります。首を白い毛が一周して見えるものは「フルカラー」と呼ばれることもあります。
このように、毛色の名称と配色、マールなどのパターン、白いマーキングの呼び方は同じ分類ではありません。

ボーダーコリーといえばブラック&ホワイトがよく知られていますが、ブルーマールや茶系カラー、トライカラーなども見られます。
全国的な人気順位を示す統一された統計は確認できませんが、国内の子犬販売サイトでは、ブラック&ホワイトやブルーマールの掲載が比較的多く見られます。
2026年9月に「みんなのブリーダー」の毛色別検索を確認した時点では、ブラック&ホワイトの掲載数がもっとも多く、次いでブルーマールが多く掲載されていました。
ただし、掲載頭数は販売されている子犬の供給状況にも左右されます。そのため、掲載数だけから全国共通の「人気ランキング」を決めることはできません。
ブラック&ホワイトは、黒をベースに白いマーキングが入る、ボーダーコリーを代表する毛色です。「黒白」「黒いボーダーコリー」と表現されることもあります。
白は顔の中央、首、胸、脚、足先、尾の先などに見られることがあります。ただし、どこまで白が入るかには個体差があり、すべての犬が同じ模様になるわけではありません。
顔の中央へきれいにブレーズが入る犬もいれば、左右非対称に白が入る犬もいます。首の白も、一周する場合と途中で途切れる場合があります。
国内の子犬販売情報でもブラック&ホワイトは多く見られ、現在でもボーダーコリーの代表的なカラーといえるでしょう。
茶色や赤茶色に見えるボーダーコリーにも複数の毛色名があります。レッド、ブラウン、チョコレートなどの言葉を、すべて同じ登録色名として扱うことはできません。
実際に海外の登録体系では、ブラウン&ホワイト、チョコレート&ホワイト、レッド&ホワイトなどが別々の名称として設定されている例があります。
一方、日本の販売情報や日常会話では、赤みのある茶色を「レッド」、濃い茶色を「チョコレート」などと表現することもあり、使われ方は必ずしも統一されていません。
そのため、茶色のボーダーコリーを見分けるときは、見た目だけでなく、どの登録団体や販売者が使っている名称なのかも確認すると分かりやすいでしょう。
ボーダーコリーの「ブルー」は鮮やかな青色ではなく、青みを帯びた灰色やグレーのように見える毛色です。ブルー&ホワイトでは、この地色に白いマーキングが入ります。
黒い色素が薄く見えることで、ブラック&ホワイトより柔らかな青灰色の印象になります。「グレーのボーダーコリー」と探している場合、この毛色を指していることがあります。
ただし、ブルー&ホワイトとブルーマールは別です。ブルー&ホワイトでは地色が比較的均一なのに対し、ブルーマールでは濃淡の異なる不規則な模様が現れます。
トライカラーは、3色が見られる配色を表す呼び方です。代表的なのはブラック、ホワイト、タンが組み合わさったボーダーコリーです。
タンは眉の上や頬、脚などに入る黄褐色から赤褐色のマーキングで、ブラック&ホワイトにこの色が加わることで3色に見えます。
ただし、トライカラーは黒・白・茶の組み合わせだけを指すとは限りません。海外ではブラウン系やブルー系などをベースにしたトライカラーの名称も使われています。

ブルーマールは、単純なグレーの毛色ではなく、淡い青灰色の部分と黒っぽい部分などが不規則に現れるマールパターンを持つ毛色です。
大理石のような模様や「まだら模様」に見えることがあり、一頭ごとに模様の入り方が大きく異なります。その特徴的な外見から、よく知られている毛色のひとつです。
マールはブルーマールだけに見られるものではありません。海外の登録体系では、レッドマール、ブラウンマール、ライラックマール、セーブルマールなどの名称も確認できます。
また、マールに関係する遺伝的な変異を持っていても、外見上の模様がほとんど分からない場合があります。そのため、見た目だけですべてを判定できるわけではありません。
ブルー&ホワイトとブルーマールの分かりやすい違いは、青灰色に見える部分の模様です。ブルー&ホワイトでは地色が比較的均一ですが、ブルーマールでは濃淡のある斑が不規則に現れます。
ただし、「斑模様が見えなければマールではない」とは限りません。クリプティックマールと呼ばれるように、マールに関係する遺伝的特徴があっても模様がほとんど目立たない犬がいます。
マールはPMELという色素形成に関係する遺伝子の変異と関連することが知られており、その変異の状態によって外見への現れ方にも違いがあります。
そのため、繁殖など遺伝的な情報を正確に把握する必要がある場面では、外見だけに頼らないことが重要です。
マールについては、通常のマールと、マールに関連するPMELアレルを2つ持ついわゆる「ダブルマール」を分けて考える必要があります。
ダブルマールでは、通常のマールより先天的な聴覚障害や眼の異常が多く見られることが知られています。ただし、マールに関連する健康リスクは犬種や遺伝的背景によっても異なります。
また、ボーダーコリーを対象にした英国の研究では、マールの毛色と先天性感音性難聴との関連も報告されています。
これは「ブルーマールなら難聴になる」という意味ではありません。あくまで研究集団の中で関連が認められたもので、海外研究の割合を日本のボーダーコリー全体の発症率として扱うこともできません。

ブラック&ホワイトやブルーマール以外にも、海外のボーダーコリー登録体系では、シール、セーブル、ライラック、スレート、クリーム、ゴールドなど多様な名称が確認できます。
シールは一見すると黒に近く、光の当たり方などによって褐色味が感じられる毛色として表現されます。セーブルは黄褐色や赤褐色系を基調とし、濃い色の毛が混じって見えることがあります。
ライラックは灰色がかった淡い褐色系、スレートは青みを感じる灰色系として表現される毛色です。クリームやゴールドでは、より明るい黄色から淡い黄褐色系の外見になります。
ただし、毛色名の区分や使い方は登録団体によって異なります。同じ犬を見ても、登録制度や一般的な呼称によって表現が変わる場合があります。
また、「珍しい毛色」という言葉には統一された基準がありません。国内で見かける機会が少ない毛色であっても、それだけでJKCの犬種標準外という意味にはなりません。
希少に見えることと犬としての価値や健康状態も別の問題です。「レアカラーだから優れている」「珍しいほど価値が高い」と毛色だけで判断することはできません。

白い部分が多い、あるいは白いマーキングが入っているというだけで、ボーダーコリーを「ミスカラー」と決めつけることはできません。
JKCの犬種標準では様々な毛色が認められている一方で、「ホワイトが優勢であるのは好ましくない」とされています。
つまり、一般的なブラック&ホワイトのように白い部分があること自体が問題なのではなく、犬種標準では全体の中でホワイトが優勢かどうかが評価の対象になります。
また、「ミスカラー」はJKCのボーダーコリー犬種標準に記載された正式な毛色名ではありません。販売情報などで使われている場合は、その言葉が何を指しているのか確認する必要があります。
犬種標準上の評価と健康上の問題も分けて考えましょう。英国のボーダーコリーを対象とした研究では、頭部に白が多いことと先天性感音性難聴との関連が報告されています。
ただし、白い被毛そのものが難聴の直接的な原因であると証明したものではありません。また、この研究結果を日本のすべてのボーダーコリーへそのまま当てはめることもできません。

ボーダーコリーは成長に伴って色合いや模様の見え方が変わることがあります。ただし、成長すると遺伝的な毛色が一律に別の種類へ変わるという意味ではありません。
子犬から成犬になるにつれて被毛の長さや密度が変化し、下毛と上毛の見え方も変わります。その結果、同じ毛色でも子犬のころより濃く、薄く、あるいは模様がはっきりしたように見える場合があります。
また、ティッキングと呼ばれる、白い部分に小さな色の斑点が現れる模様は、生まれた直後には目立たず、成長するにつれて確認しやすくなることがあります。
こうした変化も個体によって異なるため、「ボーダーコリーは成長すると必ず毛色が濃くなる」「必ず薄くなる」と決めることはできません。

ボーダーコリーの毛色は、ひとつの遺伝要因だけで決まるものではありません。色素の種類や濃さ、白斑、マールなどに関わる複数の遺伝要因が組み合わさって外見が作られます。
たとえば犬では、TYRP1がブラウン系の色素、MLPHが色素の希釈、PMELがマールパターンに関係することが知られています。白い模様にも別の遺伝的要因が関係します。
こうした仕組みはボーダーコリーだけに存在する特殊な遺伝法則ではなく、犬の毛色遺伝に共通する仕組みの一部です。
また、犬は外見に現れていない毛色に関係する遺伝的特徴を持っている場合があります。そのため、親犬の見た目だけから子犬の毛色を単純に予測することはできません。
特にマールでは、外見上ほとんど模様が見えない場合もあります。毛色遺伝を考える際は、目に見える色だけですべての遺伝情報を判断しないことが重要です。

ブラック&ホワイト、茶色、ブルーマールなど、毛色ごとにボーダーコリーの性格を一般化できる信頼性の高い根拠は確認されていません。
そのため、「ブラックは賢い」「茶色は穏やか」「ブルーマールは活発」といったように、毛色だけから性格を判断することは適切ではありません。
犬の行動や性格には遺伝的背景だけでなく、成長過程での経験、飼育環境、社会化、学習などさまざまな要因が関係します。
犬種によっては毛色と行動特性との関連を調べた研究もありますが、その結果をそのままボーダーコリーへ当てはめることはできません。
一方で、「毛色と性格には絶対に何の関係もない」と証明されているわけでもありません。実際に犬を選ぶ際は、毛色よりも一頭ごとの行動や健康状態などを確認することが大切です。

ボーダーコリーにはブラック&ホワイトや茶系カラー、ブルー&ホワイト、トライカラー、ブルーマールなど多様な毛色がありますが、JKCは具体的な種類数を定めていません。
毛色を見るときは、ブラックやブラウンなどの地色、2色・3色といった配色、マールなどのパターン、ブレーズやカラーといったマーキングを分けて考えると理解しやすくなります。
海外ではさらに多くの登録色名がありますが、それらをそのままJKC公認色と考えることはできません。人気についても、販売サイトの掲載傾向と全国的な人気順位は区別する必要があります。
ブルーマールや白の多い個体では健康との関連が研究されていますが、犬種標準上の評価と医学的なリスクは別の問題です。毛色だけから健康状態や性格、犬としての価値を判断しないようにしましょう。