
マルチーズの毛色は、ピュア・ホワイト(純白)が基本です。JKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種標準では、ピュア・ホワイトを基本とし、淡いアイボリーの色調も許容されています。
さらに、淡いオレンジの色調も許容されていますが、望ましい色とはされておらず、ドッグショーなどでの審査において欠点の要因となります。
そのため、「ホワイト・アイボリー・オレンジの3種類が正式な毛色」と同列に数えるより、ピュア・ホワイトを基本として許容される色調の範囲がある、と理解するほうが適切です。
FCI(国際畜犬連盟)の犬種標準も同様で、ピュア・ホワイトを基本に、淡いアイボリーを許容し、わずかな淡いオレンジは許容されるものの望ましくなく、欠点としています。
一方、AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)の犬種標準では、基本色をピュア・ホワイトとしながら、耳に見られる淡いタンやレモンは許容されるものの、望ましくないとしています。
このように、犬種団体によって「アイボリー」「オレンジ」「タン」「レモン」など表現が異なります。「クリーム」という呼び方を目にすることもありますが、犬種標準上の正式名称ではありません。
マルチーズの毛色を確認するときは、一般的な呼び方だけで判断せず、どの犬種標準や情報源で使われている表現なのかを確認することが大切です。

茶色は、JKCやFCIの犬種標準で定められているマルチーズの標準的な毛色ではありません。ブラックやグレー、黒白などについても、同様に標準的な毛色には含まれていません。
FCIの犬種標準では、淡いアイボリーを除いたホワイト以外の毛色や、異なる色の斑があるものはスタンダードから外れるものとして扱われ、審査では失格となります。
ただし、見た目が茶色や黒などに見えるという理由だけで、その犬が「純血のマルチーズではない」「必ずミックス犬である」と判断することはできません。毛色の犬種標準と、個々の犬の血統を証明することは別の問題だからです。
また、もともとは白かった毛が、成長後に目元や口元を中心として茶色くなった場合は、生まれ持った毛色ではなく、涙や唾液などによる着色の可能性も考えられます。
「茶色い毛がある」という情報だけでは、生まれつきの色調なのか、後から付いた色なのかを区別できません。いつから、どの部分が、どのように色づいているのかもあわせて考える必要があります。

マルチーズの子犬では、耳などの被毛に淡い色調が見られることがありますが、成長して被毛が伸びたり生え替わったりするなかで、その色が以前より目立ちにくくなる場合もあります。
しかし、「子犬のときに色が付いていても、成犬になれば必ず真っ白になる」とは言い切れません。何か月で色が消えるといった時期についても、すべてのマルチーズに当てはめられる十分な根拠はありません。
子犬の毛色を見るときは、ピュア・ホワイトを基本とする犬種標準と、個体ごとに見られる淡い色調を分けて考えることが重要です。
また、生まれつき見られる淡い色と、成長してから涙や唾液、汚れなどによって白い毛が変色するケースも同じではありません。以前は白かった場所が後から茶色や赤茶色になったのであれば、後天的な着色も考えます。

もともと白かったマルチーズの被毛が後から茶色や赤茶色に見える場合は、生まれ持った毛色とは別に考える必要があります。
代表的なのは、目元に涙が触れることで生じる涙やけや、口まわりに唾液が付着することによる着色です。涙や唾液には鉄を含むポルフィリンという色素成分の一種が含まれており、酸化すると白や淡い色の被毛では着色が目立ちやすくなります。
こうした現象はマルチーズだけに起こるものではありません。白い被毛では色の変化を確認しやすいため、もともとの毛色と後から生じた着色を区別して考えることが大切です。
散歩や食事などによる日常的な汚れでも、白い毛がくすんだり色づいて見えたりすることがあります。変色した場所や経過を確認しながら、必要に応じて原因を考えましょう。
マルチーズの目の下が赤茶色や茶色く見える場合は、涙によって被毛が着色する「涙やけ」と呼ばれる状態が考えられます。
涙やけそのものは白い犬だけに起こる現象ではありませんが、マルチーズのような白い被毛では色の違いが目立ちやすくなります。
ただし、目元の着色を見ただけで原因を特定することはできません。涙の量が増える背景には、目への刺激や炎症、まつ毛の異常、角膜の問題、涙の排出経路に関する問題などが関係する場合もあります。
普段より涙が明らかに多い、目を気にしてこする、目が赤い、目やにが増えたなどの変化がある場合は、単なる見た目の問題と決めつけず、獣医師へ相談しましょう。
口元やあご周辺の白い毛が後から茶色や赤茶色に見える場合は、生まれつきの毛色ではなく、唾液などによる着色が関係していることがあります。
唾液にも着色に関係する成分が含まれているため、被毛が繰り返し湿った状態になると、着色成分の酸化が進んで色が目立つことがあります。また、食事や飲水後に付いた汚れによって、口まわりの白い毛がくすんで見えるケースもあります。
そのため、口元が茶色いというだけで、マルチーズの生まれ持った毛色が変化したと考える必要はありません。一方で、口元や皮膚に赤み、腫れ、かゆみなど、普段と異なる変化がある場合は注意が必要です。
着色が急に目立つようになった、状態が長く続いている、徐々に悪化しているなど気になる変化がある場合は、原因を自己判断せず獣医師へ相談するとよいでしょう。

マルチーズの白い被毛をきれいに保つには、汚れや水分を長時間残さない日常的なお手入れが基本です。特に目元や口元は涙や唾液が付きやすいため、状態をこまめに確認しましょう。
目元に涙や汚れが付いている場合は、強くこすらず、湿らせた清潔な布などでやさしく拭き取ります。拭いた後に湿ったままにせず、清潔なタオルなどで水分を残さないようにすることも大切です。
食事や飲水の後に口まわりが濡れたり汚れたりした場合も、必要に応じて清潔にしておくとよいでしょう。ブラッシングやコーミング(くしを使って被毛をとかすお手入れ)を行い、被毛に汚れやもつれを残しにくくすることも日常管理の一つです。
長い被毛を清潔に保つためには、犬の皮膚や被毛に適した方法で必要に応じてシャンプーを行います。ただし、洗い過ぎは皮膚や被毛の負担になる可能性があるため、汚れ具合や生活環境に合わせることが大切です。
また、「特定のフードに変えれば涙やけが必ず治る」「特定の商品を使えば白く戻る」といった情報だけを頼りにするのは避けましょう。着色の原因は一つとは限らないため、普段と異なる変化がある場合は原因の確認を優先します。

マルチーズの毛色は、JKCやFCIの犬種標準ではピュア・ホワイトが基本です。淡いアイボリーは許容され、淡いオレンジもわずかであれば許容されるものの望ましい色とはされていません。
レモンやタン、クリームなど、ほかの犬種団体で使われる表現もありますが、アイボリーやオレンジなどと一対一で対応する正式名称として扱わないことが大切です。茶色・黒・グレー・黒白なども標準的な毛色ではありませんが、外見だけから血統を判断することはできません。
また、子犬期の淡い色調が成長とともに目立ちにくくなる場合はあるものの、必ず白くなる時期や割合を一般化することはできません。
もともと白かった毛が後から茶色くなった場合は、涙や唾液、日常的な汚れなどによる着色も考えられます。毛色そのものと後天的な変色を分けて考え、急な変化や目・皮膚などの異常を伴う場合は、獣医師へ相談しましょう。