
パピヨンの毛色について「公式には5種類」「決まった数がある」と誤解されることがありますが、ジャパンケネルクラブ(JKC)の現行犬種標準では「白地であればすべての色が認められる」と定められています。
そのため、公式に指定された特定の数や色の制限が存在するわけではありません。一方で、実際のペットショップやブリーダー、愛犬家の間では、視認しやすい代表的な毛色名が便宜上使われています。
公式な登録上の基準と、日常的・実務的に使われる毛色の呼称は意味合いが異なるため、両者を分けて理解することが大切です。

国内の流通や犬種情報でよく見られる代表的な毛色名を紹介します。これらはJKCが定めた公式の分類ではなく、見た目の特徴に合わせて広く用いられている一般的な呼称です。
色調の表現には幅があり、個体ごとにグラデーションや模様の配置は様々です。なお、被毛の色によって性格や気質が変化するという科学的な根拠は確認されていません。
ホワイト&レッドは、白地をベースに赤みのある茶系の被毛が入る毛色です。「レッド&ホワイト」や「赤茶色と白」と呼ばれることもあります。
赤みの強さには個体差があり、淡いアプリコットのような色合いから、濃く深みのある赤茶色まで多様な表情を見せます。
ホワイト&セーブルは、白地に茶系の被毛が入り、毛先などに黒っぽい差し毛(黒い毛)が混ざって見える毛色です。
差し毛の入り方によっては、ホワイト&レッドやホワイト&ブラウンと見た目が非常に近く見える場合もあります。
ホワイト&ブラウンは、白地にブラウン系の茶色が組み合わさった毛色です。「ブラウン&ホワイト」や「茶色と白」と表現されることも一般的です。
レッドやセーブルとの境界線は厳密に統一されているわけではなく、ショップや愛犬家によって呼称に揺れが生じることがあります。
ホワイト&ブラックは、白地にブラックの模様が入る毛色です。「黒白」や「黒いパピヨン」と呼ばれることもあります。
全身が真っ黒という意味ではなく、白地の被毛をベースに黒の斑(パッチ)が配置される配色を指します。
トライカラーは、ホワイト、ブラック、そしてタンと呼ばれる黄褐色(茶系)の3色が組み合わさった毛色です。タンは主に眉の上や頬、耳の裏側などにマーキングとして現れます。
愛犬家の間では「クラシックトライ」や「ハウンドトライ」と呼ばれることもありますが、これらはJKCが独立して定めた公式の毛色分類ではありません。

パピヨンは子犬から成犬へと成長する過程で、毛色の濃淡や差し毛の目立ち具合、模様の見え方が変化することがあります。
特に子犬期に多く見られる黒っぽい差し毛は、成長とともに目立たなくなる場合や、茶色の色合いが変化する場合があります。
「退色」と呼ばれる色の変化が見られることもありますが、すべての個体が同じ時期や同じ方向へ変化するわけではありません。
子犬の時点での毛色から成犬時の完成した見た目を完全に予測することは難しいため、成長による変化も含めて愛犬の個性として見守ることが推奨されます。

日常的に使われる毛色名とは別に、JKCの犬種標準(ドッグショーなどで参照される理想像)において模様や色がどのように評価されるかを解説します。
基本原則は「白地であればすべての色が認められる」ことですが、身体のどの部分にホワイトがあるかというバランスが重視されます。
なお、犬種標準から外れている場合であっても、家庭犬としての愛らしさや健康状態に直接影響するものではありません。
JKCの現行犬種標準では、胴体や脚の部分においてホワイト(白)の占める割合が多いことが好ましいとされています。
また、頭部においては左右の耳の間に「ブレーズ」と呼ばれる適度な幅の白い筋が入っている姿が理想的とされています。
一方で、頭部の大部分がホワイトで占められている状態は欠点とみなされます。単に「白が多ければ多いほど良い」というわけではなく、配置のバランスが評価対象となります。
インターネット上で見かける「珍しい色」「レアカラー」「ミスカラー」「NSC」といった用語は、それぞれ意味が異なり同義ではありません。
例えば全身が真っ黒な単色は「白地である」というJKCの基本要件に当てはまらず、真っ白な単色は頭部のホワイトが大半を占めるため欠点とみなされます。
JKCでは2026年4月以降、犬種標準から外れる毛色に対して血統証明書上で「NSC(NON-STANDARD COLOR)」と表記する制度が導入されています。
ただし、特定の毛色や個体について十分な確認がないまま、安易にミスカラーやNSCと決めつけるべきではありません。

パピヨンの毛色は「白地であればすべての色が認められる」というJKCの規定があり、公式に「5種類だけ」と限定されているわけではありません。
ホワイト&レッドやトライカラーなどの一般的な呼称と、公式な犬種標準における模様のバランス基準は区別して捉えることが大切です。
成長に伴う毛色の変化や濃淡の違いも個性のひとつであり、「レアカラー」などの表現だけに惑わされず、一頭一頭の魅力を理解することが望まれます。