猫はハーブを食べても大丈夫?

ハーブの鉢植えのそばに座って正面を見つめる猫

猫は種類を選べば、一部のハーブを少量食べても問題ありません

しかし、猫にとってハーブは本来生きていく上で必須の食材ではありません。普段から質の良い総合栄養食を食べていれば栄養は充分に足りているため、積極的に与える必要はありません。

ハーブに含まれる主な成分と猫への影響

ハーブの小さな鉢と上を見上げる猫

ハーブには様々な成分が含まれており、猫の体質や摂取量によって異なる影響を与えます。

食物繊維

食物繊維は胃腸の動きをサポートする働きがありますが、完全肉食動物である猫は植物性の食物繊維を大量に消化・吸収するのが得意ではありません。

過剰に摂取すると、消化不良を起こして吐き気や下痢の原因になることがあります。

ビタミン・ミネラル

ハーブには微量のビタミンやミネラルが含まれています。

しかし、人間にとって良い栄養素であっても、猫の体の規模では過剰になりやすく、総合栄養食の栄養バランスを崩してしまう恐れがあるため注意が必要です。

ポリフェノール

抗酸化作用を持つ成分として人間には親しまれていますが、猫の体内における代謝経路は人間と異なります。

猫にとって安全性が確立されていないポリフェノールも多く、過剰摂取は内臓に負担をかけるリスクがあります。

香りや精油の成分

ハーブ特有の芳香成分や精油成分は、猫の肝臓で上手く解毒代謝できません。

人間には心地よい香りであっても、猫にとっては体調不良を引き起こす原因となる可能性があるため非常に危険です。

猫が食べてもいいハーブ

バジル・ローズマリー・タイムが並べて置かれている光景

安全とされるハーブでも、与え方や量には十分な配慮が必要です。

バジル

生の葉の部分を食べることができます。主な成分はベータカロテンやビタミンKなどです。

与える際は新鮮な生の葉を細かく刻み、ごく少量にとどめます。大量に与えると胃腸を刺激するため注意してください。

ローズマリー

葉の部分を食べることができます。主な成分はロスマリン酸などです。

香りが非常に強いため、小さく刻んでごく少量を与える程度にします。乾燥させたものや精油成分が濃縮されたものは与えないでください。

タイム

葉の部分を食べることができます。主な成分はチモールなどです。

十分に洗った生の葉をごく少量与えます。香りの成分が強いため、猫が嫌がる場合は無理に与えず、過剰摂取にならないよう気を付けます。

ディル

柔らかい葉の部分を食べることができます。主な成分はビタミンCやミネラル類です。

生の葉を刻んで与えますが、硬い茎は取り除いてください。消化器官への負担を避けるため、少量にとどめます。

コリアンダー(パクチー)

生の葉の部分を食べることができます。主な成分はリナロールやビタミン類です。

風味が強く好みが分かれるため、与える際はごく微量にします。アレルギー症状が出ないか注意深く観察してください。

キャットニップ

葉や茎の部分を食べることができます。主な成分はネペタラクトンです。

猫が興奮したり反応を示したりしますが、与えすぎると感覚が麻痺したり、胃腸障害を起こしたりするため、少量に制限します。

猫に与える際に注意が必要なハーブ

束で置かれたパセリとカットされてボウルに入ったパセリ

安全性や種類、摂取量によって評価が異なり、危険性が伴うハーブです。

パセリ

パセリにはオキシトシン様作用や光線過敏症を引き起こす成分が含まれている場合があり、特に大量摂取は危険です。飼い主の自己判断で積極的に与えるのは避けてください。

セージ

セージに含まれる成分は、過剰に摂取すると猫の神経系や消化器系に影響を与える恐れがあります。安全性についての十分なデータがないため、飼い主の判断で日常的に与えるべきではありません。

レモングラス

レモングラス自体は危険性が低いとされることもありますが、消化しにくい繊維質が多く、精油成分も含まれます。胃腸への負荷や体質による影響を考慮し、積極的に与えない方針が無難です。

猫が食べてはいけないハーブ

木のテーブルに置かれたミントとラベンダー

毒性や危険な症状を引き起こす恐れがあるため、絶対に与えてはいけません。

オレガノ

オレガノに含まれる成分は猫の消化器系を強く刺激し、嘔吐や下痢を引き起こす可能性があります。場合によっては肝障害などを引き起こす危険があるため、絶対に与えてはいけません。

ミント

ミントにはペパーミントやスペアミントなど多数の種類が存在しますが、飼い主が正確に種類や安全性を識別するのは困難です。

精油成分やメントールが毒性を持つため、基本的に与えないでください。

ラベンダー

ラベンダーに含まれる酢酸リナリルやリナロールは、猫の体内で解毒できず中毒症状を起こします。

生の植物だけでなく、乾燥させたものや香り成分も含めて猫に与えるのは厳禁です。

カモミール

カモミールはジャーマン種やローマン種など種類によって安全性の情報が異なり、猫における安全な摂取量も明確ではありません。毒性反応が出るリスクがあるため、与えない方針としてください。

チャイブ・にんにくなどのネギ属

ネギ属に含まれる有機チオ硫酸化合物は、猫の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。

生の葉や球根だけでなく、加熱、乾燥、粉末、煮汁であっても絶対に与えてはいけません。

ペニーロイヤル

ペニーロイヤルには精油成分であるプレゴンが含まれており、強い肝毒性を持っています。

植物そのものだけでなく、特に成分が濃縮された精油は極めて危険であり、絶対に近づけないでください。

セントジョーンズワート

セントジョーンズワートに含まれるヒペリシンという成分は、日光に対して過剰に反応する光線過敏症や中毒症状を引き起こします。猫の体に有害なため、誤食させないよう厳重に管理してください。

猫にハーブを与える際の注意点

散らばった乾燥ハーブに鼻先を近づけている猫

猫にハーブを近づける際は、いくつかの重要な注意点を守る必要があります。

主食や栄養補給の代わりにしない

ハーブは猫の主食になり得ません。必要な栄養はすべて総合栄養食から摂取させるのが基本であり、ハーブを栄養補給の目的で与えたり食事の代わりにしたりしないでください。

人間用の料理から与えない

人間用に調理された料理には、塩分やドレッシング、玉ねぎなどの危険な食材が含まれています。ハーブが使われていても、人間用の加工品や料理から与えることは絶対にやめてください。

初めて与える場合は少量にする

安全とされるハーブであっても、体質に合わない可能性があります。

初めて与える際は耳かき1杯程度のごく少量にとどめ、体調に変化がないか経過を観察してください。

アレルギーや消化不良に注意する

ハーブを摂取した後に、身体の痒みや皮膚の赤みといったアレルギー症状、あるいは嘔吐や下痢などの消化不良を起こすことがあります。異常が見られたらすぐに摂取をやめてください。

持病や服薬中の猫には与えない

持病がある猫や薬を服用している猫の場合、ハーブの成分が薬の代謝を妨げたり病状を悪化させたりするリスクがあります。

自己判断で与えず、与えても良いか事前に獣医師に確認することが大切です。

種類が分からないハーブは与えない

野外に生えているものや、名前・種類が曖昧なハーブは誤って中毒を起こす植物を与える危険があります。確実に安全性が確認できていないハーブは絶対に与えないでください。

猫にハーブを食べさせる際の与え方・適量

まな板の上でバジルを刻んでいる様子

安全なハーブを与える場合でも、適切な下処理と極小量の給与を守る必要があります。

新鮮な葉をよく洗う

ハーブの表面には農薬や土壌の汚れ、細菌などが付着している可能性があります。猫に与える前には、新鮮な生の葉を流水でしっかりと洗い流してください。

硬い茎を取り除く

ハーブの茎は繊維質が硬く、猫の胃腸では消化できません。喉に詰まらせたり胃腸を傷つけたりする原因になるため、柔らかい葉の部分だけを選び、茎は丁寧に取り除きます。

細かく刻んで少量だけ与える

大きな葉のまま与えると消化不良を起こしやすくなります。包丁などで非常に細かくみじん切りにし、ごく少量だけを与えるようにしてください。

味付けや油を加えない

風味を良くしようとしてオリーブオイルや塩、ドレッシングなどを混ぜてはいけません。ハーブを与える場合は何も加えず、生の状態をそのまま細かく刻んで使用します。

フードのトッピング程度に留める

ハーブは単体で与えず、いつものフードの上に少量振りかけるトッピング程度に留めます。なお、おやつやトッピング全体の量は、1日の必要カロリーの10%以内に収めてください。

また、乾燥ハーブは成分や香りが濃縮されているため、生の葉と同じ感覚で与えると刺激が強すぎます。グラム数で測らず、ごくわずかな量にとどめる意識が大切です。

猫にハーブティーやサプリメントを与えても大丈夫?

不機嫌な表情でカップの飲み口を前足で覆う猫

人間用のハーブティー、ハーブエキス、サプリメント、チンキ剤などを猫に与えてはいけません

これらの製品には成分が高濃度で抽出されているほか、複数の植物がブレンドされていることが多く、猫に有害な種類が含まれているリスクがあります。

さらに、カフェインやアルコール、人工甘味料などが加わっている可能性もあり危険です。

猫にハーブの精油を使用してはいけない理由

猫の足元に置かれたハーブの精油の瓶

ハーブの精油を猫に食べさせたり、皮膚へ直接使用したりするのは避けて下さい。

精油は植物の成分が高濃度に濃縮されたものであり、生のハーブとは全く別物として考える必要があります。猫は精油成分を肝臓で代謝・解毒する仕組みが乏しいため、深刻な中毒を引き起こします。

皮膚や被毛に塗らない

猫の皮膚は薄く、精油の成分が迅速に毛細血管から吸収されてしまいます。

また、毛繕いによって直接口に入り重症化するため、皮膚や被毛への塗布は絶対に行わないでください。

食事や飲み水に混ぜない

精油を水やフードに混ぜて与えると、口内の粘膜を強く刺激し、内臓に急激な負担をかけます。少量であっても毒性が強く現れるため、口に入れないよう厳重に管理します。

アロマディフューザーの使用に注意する

室内で精油を拡散させると、空気中の成分を猫が呼吸によって吸い込んだり、被毛に付着したものを舐め取ったりします。猫がいる部屋でのアロマディフューザーの使用は控えてください。

付着や誤食時は動物病院に相談する

誤って精油が体についたり口に入ったりした場合は、よだれ、嘔吐、元気消失、ふらつき、震え、呼吸の異常などが現れる可能性があります。異変を感じたらすぐに獣医師に相談してください。

特にペパーミント、ペニーロイヤル、ティーツリー、ユーカリ、シナモン、クローブなどの精油は猫に対して強い毒性を持つため、室内への持ち込み自体に十分な注意が必要です。

猫が危険なハーブを食べた場合の対処法

飼い主に支えられながら獣医師の診察を受ける猫

誤って有害なハーブを口にしてしまった場合は、迅速で正確な対応が求められます。

食べたハーブの種類・量・時間を確認する

万が一誤食した場合は、いつ、どのハーブを、どのくらいの量食べたのかを正確に把握してください。診察時にスムーズに状況を伝えるための重要な情報となります。

商品や植物の写真を残す

食べたハーブの現物、パッケージ、または植物の全体像をスマートフォンなどで撮影しておきます。正確な種類を識別する手がかりとなり、適切な治療に繋がります。

注意すべき症状

誤食後に現れる異変に注意してください。

具体的には「嘔吐」「下痢」「よだれ」「食欲不振」「元気がない」「ふらつき」「震え」「呼吸の異常」「尿の色の変化」などが挙げられます。

動物病院へ相談する

中毒症状が見られたら、自己判断で処理せず速やかに動物病院へ連絡します。

飼い主の判断で無理に吐かせようとすると、喉を痛めたり誤嚥を引き起こしたりするため絶対にやめてください。

特にネギ属のハーブ、ペニーロイヤル、または精油を口にした場合は、直後に目立った症状が出ていなくても体内で中毒が進行する恐れがあるため、早急に動物病院へ連絡することが重要です。

まとめ

草に顔を近づけている猫のアップ

猫が食べられるハーブも一部存在しますが、本来の主食である総合栄養食を食べていれば、栄養補給を目的として積極的に与える必要はありません。

ハーブの中には猫に強い毒性を持つ種類や、安全性が明確になっていないものが数多く存在します。また、精油やハーブエキス、人間用のサプリメントは成分が濃縮されており大変危険です。

誤食や使用を避け、愛猫の安全を一番に考えた環境づくりを心がけましょう。